2022 Fiscal Year Annual Research Report
Molecular mechanisms linking floral transition and stem elongation in plants
Project/Area Number |
22H04978
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
芦苅 基行 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 教授 (80324383)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
辻 寛之 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 教授 (40437512)
今泉 貴登 名古屋大学, 遺伝子実験施設, 招へい教員 (60767466)
水谷 未耶 名古屋大学, 生物機能開発利用研究センター, 研究員 (90836280)
|
Project Period (FY) |
2022-04-27 – 2027-03-31
|
Keywords | ACE1 / DEC1 / イネ |
Outline of Annual Research Achievements |
まずイネACE1およびDEC1の遺伝子発現制御機構を明らかにするために、酵母one-hybrid法を用いてイネACE1およびDEC1のプロモーターに結合する転写因子を選抜した。また、酵母two-hybrid法を用いて、ACE1およびDEC1タンパク質と相互作用する因子を選抜した。またイネ節間伸長に必須なジベレリンとDEC1との関係を調べるために、イネDEC1タンパク質とジベレリンの情報伝達の主要因子であるDELLAタンパク質の結合を明らかにした。これまでACE1やDEC1の茎伸長の分子機構は不明であったが、ここで同じく茎伸長制御する植物ホルモンのジベレリンとの接点を見いだすことに成功した。 シロイヌナズナにおいては花芽分化に連動した茎伸長の分子機構が全く明らかになっていない。そこでシロイヌナズナのACE1とDEC1遺伝子を手がかりに茎伸長の制御機構の解析を進めた。まず、シロイヌナズナにおけるACE1類似遺伝子(FLP1)の機能解析を進めた。具体的にはFLP1の過剰発現体やゲノム編集で機能破壊した個体を作出し、開花誘導および花茎伸長に関する表現型の解析を行った。また、全転写因子ライブラリーを用いた酵母two-hybrid法によるFLP1相互作用タンパク質の探索を行い、FLP1が特定の転写因子と結合することを明らかにした。 ゼニゴケにおけるMpDEC1遺伝子の遺伝子発現解析、過剰発現体や機能破壊株を用いた機能解析を進めた。まず、MpDEC1プロモーターにGUSを融合したコンストラクトを観察したところ、その発現がメリステムと柄で観察された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請者はこれまでにイネの花芽分化と茎伸長の連動性の鍵となる2つの因子(ACE1とDEC1)を同定し、これらの因子から関連する因子を見いだすことが重要だと考え、酵母one-hybrid法や酵母two-hybrid法を用いて、ACE1やDEC1因子を発現制御する因子の発見を目指し、いくつかの候補因子を見いだすことに成功した。またこれまでACE1やDEC1と、植物の茎伸長に必須な植物ホルモンのジベレリンとの関わりは不明であったが、ジベレリンの情報伝達因子のDELLAとDEC1が相互作用することを見いだすなど、鍵となる因子とホルモンの関係が見え始めた。また、双子葉のモデルであるシロイヌナズナのACE1とDEC1遺伝子を手がかりに茎伸長の制御機構の解析を進め、シロイヌナズナにおけるACE1類似遺伝子(FLP1)を見いだすとともに、機能についても明らかにする実験を行い、FLP1が、開花誘導および花茎伸長に寄与することを明らかにした。さらにFLP1と相互作用する因子を見いだすなど、シロイヌナズにおいても、ACE1類似遺伝子の機能が明らかになりつつある。さらにFLP1が長日+遠赤色光条件依存的に葉の維管束で発現することを見出した。FLP1が組織間を移動することを示唆する結果も得られており、開花を誘導する新規のシグナル因子として機能している可能性が示唆された。ゼニゴケにはACE1類似遺伝子は存在しないが、DEC1遺伝子に類似する因子が存在するため解析を進め、DEC1は柄伸長制御に関わっていることを見いだした。以上のように、イネ、シロイヌナズナ、ゼニゴケにおいて、ACE1とDEC1の機能の相同性や相違性が見いだされるなど、新たな知見が得られたことにより研究は順調に進んでいる。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでに見いだしたイネのおよびDEC1遺伝子制御候補遺伝子についてin-vitro pull downを用いて解析を進める。またこれまでに見いだしたACE1およびDEC1と結合する転写因子が実際にイネ生体内で結合し、転写活性能を変化させているかイネのプロトプラストを用いたトランジェントアッセイで明らかにする。さらにイネの節間伸長に必須なジベレリンの生体内での生合成について、GA合成酵素の遺伝子発現についてRNA-seq解析により明らかにするとともに、質量分析計を用いて相転換前後のGAのホルモン定量を行う。 シロイヌナズナのFLP1が長日+遠赤色光条件依存的に葉の維管束で発現することを見出すとともに、FLP1が組織間を移動することを示唆する結果が得られているため、これらを詳細に検証する。またシロイヌナズにおいても、GA合成酵素の遺伝子発現についてRNA-seq解析により明らかにするとともに、質量分析計を用いて相転換前後のGAのホルモン定量を行う。ゼニゴケDEC1遺伝子については、プロモーターGUS解析からメリステムで発現し、生殖器形成に関わることが見え始めている。そこで、これまでに明らかになったゼニゴケの生殖に関わる遺伝子との2重変異体を作成し、生殖期形成カスケードの何処に寄与しているのかを明らかにする。
|
Research Products
(7 results)