2022 Fiscal Year Annual Research Report
Deployment of parameterization techniques for next-generation Southern Ocean oceanographic observations
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22H05003
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
渡辺 豊 北海道大学, 地球環境科学研究院, 准教授 (90333640)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中野 善之 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 研究プラットフォーム運用開発部門, 副主任研究員 (20566103)
草原 和弥 国立研究開発法人海洋研究開発機構, 地球環境部門(環境変動予測研究センター), 研究員 (20707020)
平野 大輔 国立極地研究所, 南極観測センター, 助教 (30790977)
田村 岳史 国立極地研究所, 先端研究推進系, 准教授 (40451413)
真壁 竜介 国立極地研究所, 研究教育系, 助教 (40469599)
溝端 浩平 東京海洋大学, 学術研究院, 准教授 (80586058)
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Project Period (FY) |
2022-04-27 – 2027-03-31
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Keywords | 南大洋 / パラメタリゼーション / 氷床融解 / 物質循環 |
Outline of Annual Research Achievements |
南大洋での厳しい気象・海象条件による観測データの時空間的な乏しさが、同海域の生態系・物質循環の研究に大きな不確かさをもたらしている。これらの問題点を克服するために、本研究は、斬新なパラメタリゼーション(経験的関数化)技術とアイデア、そして観測によって、南大洋の氷床融解を深く理解し、海洋生態系・物質循環との相互作用の包括的な実態解明を世界に先駆け、この解明の扉を開くことを目指すため、2022年度は以下の項目を実施した。 ●研究項目(1):線形重回帰法(MLR)とニューラルネットワーク(NN)法のハイブリッド型による炭酸系物質・栄養塩類の南大洋全域に適用できるパラメタリゼーションの開発に着手した。 ●研究項目(2):項目(1)に基づき氷床融解量の新規見積り法の開発に着手した。観測に関しては海洋観測船の都合により、R4年の8月に新型コロナウィルス感染対策として当初予定していた観測人員・観測点・観測項目の一部の削減が決定され、当初予定の観測計画が実施できなくなったため、R5年度に一部繰越を行った。しかし、その他の観測・分析・データ収集については計画どおりに実施できた。 ●研究項目(3):項目(2)で開発したパラメタリゼーションを南大洋全域に適用し、高精度な南大洋の氷床融解量マッピングのための予備的試験を行った。 ●研究項目(4):項目(1)で開発したパラメタリゼーションをArgoに適用し、南大洋の純群集生産量(NCP)と、深層から海洋表層への炭素の再回帰量(Restoration)の詳細な分布を描き出すための方法に着手した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
観測に関して海洋観測船の都合により、R4年の8月に新型コロナウィルス感染対策として当初の観測がやや遅れているが、各研究項目については計画通り、着手し良好な結果を得て順調に進んでいる。 ●研究項目(1):線形重回帰法(MLR)とニューラルネットワーク(NN)法のハイブリッド型による炭酸系物質・栄養塩類の南大洋全域に適用できるパラメタリゼーションの開発に着手し良好な結果を得ている。 ●研究項目(2):項目(1)に基づき氷床融解量の新規見積り法の開発に着手し良好な結果を得ている。 ●研究項目(3):項目(2)で開発したパラメタリゼーションを南大洋全域に適用し、高精度な南大洋の氷床融解量マッピングのための予備的試験の着手し良好な結果を得ている。 ●研究項目(4):項目(1)で開発したパラメタリゼーションをArgoに適用し、南大洋の純群集生産量(NCP)と、深層から海洋表層への炭素の再回帰量(Restoration)の詳細な分布を描き出すための方法に着手し良好な結果を得ている。
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Strategy for Future Research Activity |
●研究項目(1):炭酸系物質・栄養塩類のパラメタリゼーション技術の開発を行い、これを応用し、全球海洋にシームレスに適用可能で高精度な炭酸系物質・栄養塩類のパラメタリゼーションの開発・展開を目指す。 ●研究項目(2):化学海洋学的見積り法(氷床総融解量)と衛星データ見積り法(海氷生成量)の差分を用いて、南大洋での氷床の正味の融解量の見積りの高精度な定量的見積りを図り、これらの結果を海洋・氷床モデル結果と比較することで、極域全般に適用可能な化学海洋学的見積り法の展開を目指す。 ●研究項目(3):Argoデータ群を用いた南大洋縁辺海域における時空間的に詳細でリアルタイムな氷床融解量の実態を把握する観測システムの構築を引きつづき行う。 ●研究項目(4):炭酸系物質・栄養塩類の統合データ群を基盤に、南大洋全域にわたり緯度経度1度格子・海底面まで10m毎の氷床融解量・海洋生態系物質循環像の構築ならびにこれらの時系列変動解析を引きつづき行う。この結果を、国立極地研究所が保有する同海域の生態系時系列データ群(分画クロロフィル・植物動物プランクトン現存量)と比較し、南大洋の淡水化変動と海洋生態系変動の先駆け的研究を目指す。
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