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2023 Fiscal Year Research-status Report

Elucidating Wittgenstein's philosophy of ming on "Philosophy of Psychology"

Research Project

Project/Area Number 22K00003
Research InstitutionChiba University

Principal Investigator

山田 圭一  千葉大学, 大学院人文科学研究院, 教授 (30535828)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords心理学 / 心の哲学 / ジェームズ / 感情 / 意味体験
Outline of Annual Research Achievements

2023年度はウィトゲンシュタインの心理学批判の眼目を理解するために、当時の心理学について言及しているテキストの収集と分析を行った。その結果として、まず最も頻繁に言及されているのがウィリアム・ジェームズであり、そのなかでもとりわけある語(”if”)を発するときや聞いたときに特有の語の感じについての考察や、身体状態の変化の感じとして感情を捉える見解(いわゆる「ジェームズランゲ説」)についての考察が中心となって『哲学探究』第二部(およびその草稿となった手稿やタイプ原稿群)につながっていることを明らかにするとともに、そこにはジェームズに対する肯定と否定の往復運動が行われている点を文献学的に裏付けた(基本的にはジェームズの着眼点と問題への切り込み方に対しては賛同しながら、「感じ」を感覚と類比的に捉えている点に対して批判的であり、それに代わるものとしてアスペクト(対象の捉え方)が提示されているのではないかという見通しを立てている)。
第二に同じくウィトゲンシュタインが心理学に対して言及しているテキストを収集し、分析することによって、彼の心理学一般に対する批判が(1)心理学的な用語を定義によって一義的に定める点、(2)心理学的な方法論的によって心に対する問題を解決しようとしている点に向けられていたことを明らかにした。そしてこれらの批判に対するカウンターとなるのがウィトゲンシュタインの心の哲学の多元論的側面と概念的問題と経験的問題の区別を堅持する姿勢ではないかと考えている。
以上の研究成果はまだ論文の形にまとめることができていないので、次年度に持ち越したい。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

ウィトゲンシュタインの心理学について言及したテキストについての分析とジェームズの哲学についての分析に思いのほか時間がかかり、本年度はこのあたりを論文の形にまとめることができなかった。次年度はこれをまとめ上げるとともに、ウィトゲンシュタインの心理学批判の眼目についてまとめ上げる年にしたい。

Strategy for Future Research Activity

本年度は上記の研究成果に加えて、野矢茂樹の哲学における「物」の実在の在り方についての論文を書き、ウィトゲンシュタインの前期『論理哲学論考』における〈世界〉概念の分析についての発表をを行った(それぞれ現段階ではまだ未刊行)。
こちらの成果と本年度行ったウィトゲンシュタインの〈心理学の哲学期〉の文献研究の成果を組み合わせることを通じて、ウィトゲンシュタイン哲学において内なる世界(いわゆる「心」の世界)と外なる世界(いわゆる「物」の世界)がどのように区分されることになるのかを次年度に検討してみることにしたい。

Causes of Carryover

予定よりもやや研究の進展が遅れていて、今年度必要となる予定だった心理学関連の書籍を購入しなかったのと、発表のための出張を行わなかったため、

  • Research Products

    (3 results)

All 2024 2023

All Presentation (2 results) Book (1 results)

  • [Presentation] フレーゲからの手紙 ―なぜ『論考』は「世界は事実の総体である」から始まらないのか?2024

    • Author(s)
      山田圭一
    • Organizer
      第93回ウィトゲンシュタイン研究会
  • [Presentation] 〈謙虚〉という徳(「日本の徳概念に根差した徳倫理学と徳認識論の可能性」WS) 山田圭一2023

    • Author(s)
      山田圭一
    • Organizer
      第15回応用哲学会 2023年
  • [Book] 徳の教育と哲学 : 理論から実践、そして応用まで担当:共著, 範囲:第11章 情報教育と徳(112-121頁)2023

    • Author(s)
      立花幸司
    • Total Pages
      180
    • Publisher
      東洋館出版社
    • ISBN
      9784491053783

URL: 

Published: 2024-12-25  

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