2022 Fiscal Year Research-status Report
近代合理性に対置される多元的合理性と倫理性に関する理論比較研究
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22K00016
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Research Institution | Hokkai School of Commerce |
Principal Investigator |
見附 陽介 北海商科大学, 商学部, 准教授 (10584360)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 脱中心化 / 多元性 / 合理性批判 / 環境倫理 / フランクフルト学派 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、近代社会の様々な問題の原因とされる近代合理性に対置されるべき“別種の”合理性を、近代合理性を批判する様々な理論の成果を比較し総合する観点から“多元的合理性”として提起することを目指す。 当該年度の研究においては、一つにはいわゆるフランクフルト学派による近代合理性批判を多元性という観点に重点をおいて捉え直す再確認作業を行なった。近代合理性がもたらす同一性と抑圧の問題を描き出したホルクハイマーとアドルノの著作『啓蒙の弁証法』のうちとくに第6章に基づき、その断章形式が持つ同一性批判と多元的構成への志向を、そこで論じられる社会批判の内容とともに検討した。 もう一つの取り組みとして、環境思想における二つの理論的傾向の比較を行い、別種の合理性の実践的可能性への見通しを探求した。具体的には、環境倫理学および環境に関する社会哲学の成果を、脱中心化された統合という多元性の原理に基づくポストモダニズムの思想の観点から捉え直す作業を行なった。 環境倫理および環境に関する社会哲学においては、しばしば環境保護を実践するための世界政府の必要が論じられる。これは、すなわち地球生態系を破壊しない範囲に人間の社会経済活動を規制するための地球規模での一元的な統治・管理体制の必要性を論じる議論であるが、当該年度の研究では、これに対置されうる多元的取り組みの可能性を、近年の環境経済学の議論を参照しつつ、市場を通じた合理的秩序の形成のうちに探った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画通り、近代合理性批判を展開する理論に関して検討を進めるとともに、そこに対置されるべき多元的秩序の原理に関する考察を進めることができた。またこれらの成果の出版を行うこともできた。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の推進計画として、次年度においても引き続き、近代合理性における問題の原理的解明と、他方の多元的合理性を実現する原理に関わると思われる諸理論の成果の探索を行う。 前者の作業においては、題材として超高齢社会の課題あるいは近代社会と障害者排除の課題などに重点をおいて、合理性がもたらす抑圧と排除の仕組みをより詳細に解明していく予定である。 後者の作業においては、市場メカニズムと合理性との関連に関する原理を、おもに経済学の理論的成果に依拠しつつさらに究明していくことになる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍にあって今年度も引き続き学会参加旅費の使用を見送ったため旅費分の執行がなかった。物品費に関しては、研究の進展の結果、図書を初年度に一度に購入するよりも、研究の進展による理論的成果の発見に基づく順次的な購入が合理的となることがわかったため、一部を翌年度に繰り越した。 翌年度においては、旅費の執行とともに、研究の進展と発展、渉猟する分野の広がりに合わせて図書の計画的購入を進めていく予定である。
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Research Products
(2 results)