2022 Fiscal Year Research-status Report
再生医療の臨床試験デザインにおける倫理的課題:研究対象者の権利保護の観点から
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22K00031
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高嶋 佳代 京都大学, iPS細胞研究所, 特定研究員 (60620987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三成 寿作 京都大学, iPS細胞研究所, 特定准教授 (60635332)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 再生医療 / 臨床試験デザイン / 被験者保護 / 科学的妥当性 / 倫理的配慮 / 患者市民参画 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度は、社会的価値の創出をもたらすための再生医療分野の臨床試験デザインと、その試験デザインに伴う被験者保護の問題という観点から、価値の対立につながる論点を整理し、検討を進めた。主に人を対象とする医学研究における研究倫理の原則や概念から、試験デザインに着目した科学的妥当性と被験者保護の論点を抽出すると同時に、再生医療分野の特性を踏まえた上で既存の臨床試験デザインの理論を応用することに関する課題を分析した。具体的には、再生医療における臨床試験デザインの倫理的課題と、医薬品における臨床試験デザインで、二重盲検試験として偽手術(プラセボ手術)を実施することに関する課題について文献調査により論点を抽出するとともに、そのような論点から国内の幹細胞研究や規制に精通した臨床試験の専門家へヒアリングを行った。現在、これらの論点をもとに国際誌への投稿を目指し、準備を行なっている。 臨床試験と患者市民参画に関しては、眼科疾患の臨床試験を対象に視覚障碍に配慮した説明の方法を当事者と一緒に検討し、音声による説明補助資料を作成した試みについて、Stem Cell Report誌に論文を発表した(Takashima et al., 2022)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実務に関わる専門家へのヒアリングは前倒しで実施したが、初年度に計画していた試験デザインに関する論文投稿の準備に時間を要しているため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、文献調査やヒアリングを実施するとともに、現時点での成果を英語論文として投稿し、今後の議論に発展させる足掛かりをつくる。
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Causes of Carryover |
文献調査については、主に大学のシステムを通じて国内外の論文や報告書を入手できたことで、予定よりも低予算で本年度分の調査に関する文献の入手ができたことや、面談などはウェブ会議システムを用いることが可能であったこと、また、ウェブでの面談によりパイロット調査としてヒアリングの調査などを行なったことなどにより、予定していた旅費などの予算が抑えられたことで、次年度使用が生じた。2年目より、対面での研究会やヒアリングの実施、情報収集などを行う予定であり、また海外への調査に向けた経費が必要となるため、初年度の経費を2年目以降に用いる必要がある。
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Remarks |
ニュースレター(未承認の治療法とどのように向き合うか CiRA Newsletter 49 2022年/How to consider an unproven therapy CiRA Reporter 30 2022)や研修会での講演(被験者保護について改めて考えるー順天堂大学 2023年、臨床研究における患者・市民参画についてー静岡がんセンター 2022年など)での発表も行なっている。
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Research Products
(3 results)