2022 Fiscal Year Research-status Report
Social Contribution by the U. S. Christian Evangelicals on the Issue of Race
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22K00078
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Research Institution | Reitaku University |
Principal Investigator |
堀内 一史 麗澤大学, 国際学部, 特任教授 (60306404)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 福音派 / 福音派左派 / 人種和解運動 / 社会正義運動 / 多民族会衆化運動 |
Outline of Annual Research Achievements |
キリスト教福音派による人種問題への取組というテーマで研究を行った。初年度である2022年は、米国の人種関係を植民地時代の奴隷制から現代まで、歴史的に文献調査に基づいて辿り、文献調査の補足として、後述の専門家のインタビューを行った。 具体的には、福音派による人種関係の改善を「人種和解運動」と「社会正義運動」の視点から分析した。1950年代から60年代までの南部諸州の人種隔離政策とそれに対抗する公民権運動を人種和解運動の第一波とし、1990年以降のプロミス・キーパー運動を第二派とした。第一波で特に注目したのは、保守的な白人南部福音派の人種隔離政策擁護と福音派左派やリベラル派による人種隔離の撤廃・是正運動という二つのベクトルの交錯・対抗である。2000年以降は、社会正義の達成を人種和解より優先させる「社会正義運動」の高まりであり、ブラック・ライブズ・マター運動である。そのほかにも、福音派左派のジム・ウォリスに代表される人種和解運動第一波の戦略を踏襲した改革運動の分析を行った。 今回の研究では、こうした社会改革運動のほかに、教会内での人種融合を図る、多民族会衆(Multiethnic Congregation)化運動について文献調査ならびに専門家へのインタビューを行った。2022年9月に米国を訪問し、多民族会衆研究の第一人者であるイリノイ大学シカゴ校のマイケル・エマーソン(Michael Emerson)教授ならびにデイビッドソン大学のジェラルド・マーティ(Geraldo Marti)教授にそれそれ面会し、インタビューを実施した。その結果、2年度目以降の研究の方向性が固まった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当該テーマに関する文献の収集もおおむね予定通りであり、特に、予定していた多民族会衆化運動研究の専門家2名にも面会とインタビューができたことは研究の進捗を大いに推進させた。
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Strategy for Future Research Activity |
2023年は、2022年度の文献調査とインタビューによる補足によって固まった方向性に沿って、多民族会衆化運動の実地調査を実施する予定である。7月中旬から下旬にかけて、米国ミネソタ州のミネアポリスに本拠地を置くミネソタ州教会協議会のCEOであり、多民族会衆化運動の実践家でもあるカーティス・ポール・デヤング牧師に面会し、多民族会衆化の進捗レベルの異なる教会を訪問し、複数の牧師や複数の教会の会衆にアンケートおよび面接調査を行う予定である。その調査を分析し、多民族会衆化の推進要素、疎外要素などを把握し、最終的には発達段階的なプロセスを記述する予定である。
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Causes of Carryover |
初年度にICレコーダー購入予定を次年度に見送った結果である。
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