2022 Fiscal Year Research-status Report
A Study of American Christian Denominations' Understanding of Climate Change
Project/Area Number |
22K00086
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
木谷 佳楠 同志社大学, 神学部, 准教授 (70707166)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関谷 直人 同志社大学, 神学部, 教授 (80288597)
森田 喜基 同志社大学, キリスト教文化センター, 准教授 (60794063)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アメリカ / キリスト教 / 気候変動 / 文化戦争 / 福音派 / 環境問題 / 神学 |
Outline of Annual Research Achievements |
研究初年度の2022年度は、アメリカのキリスト教各派が既に発表した気候変動に関する宣言文などの公式文書を収集し、分析した。この分析により、さまざまな教派の視点や気候変動に対する立場について貴重な洞察が得られた。調査で得られた情報とその分析の一部は、Kobe College Studies Vol. 69, No. 1に投稿した“Climate Change and the Christian Church: The Church's Understanding of Climate Change and Its Effect on U.S. Politics”(pp. 1-20)というタイトルの査読付き論文で公表している。本論文において、アメリカのキリスト教各派の気候変動理解と、その理解がアメリカの政治に与える影響について包括的な概要を提供した。 論文以外では、Ben-Gurion University of the NegevのCenter for the Study of Conversion and Inter-Religious Encounters (CSoC)が主催する“Rethinking Center and Periphery in the Abrahamic Religions”と題した学術セミナーにおいて講演し、研究成果の一部を公表した。その他の研究実績では、同志社大学人文科学研究所第104回公開講演会「アメリカ合同教会の「会衆主義」―人権と環境問題へのアプローチ―」におけるランディー・ウォーカー氏講演に対するコメンテーターを務め、教会の環境問題への姿勢について対話を行なった。その内容については、2023年2月に発行された『人文研ブックレット No.77』(34-42頁)に掲載された。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究は、アメリカのキリスト教各派の気候変動理解を分析し、宗教的価値観と気候変動に対する認識との相関関係を明らかにすることを目的としており、3年間の研究計画を立てて研究を実行している。2022年度は基本文献と一次資料の収集が完了した上、2年目に実施するアンケート調査の質問項目と分析方法について整理することができたため、初年度計画していた目標を達成することができた。 また、9月には世界教会協議会(WCC)の第11回総会出席のためドイツへ渡航し、キリスト教各派の気候変動に対する姿勢の調査や研究資料を追加で収集をすることができた。そこで得られた資料を用いて現在論文を執筆中である。 加えて、ドイツでの総会では、あらゆるキリスト教の教派に属する聖職者と対面で会うことができたため、3年目に実施予定の聞き取り調査の対象者を絞り込むことができたことも特に大きな収穫であった。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の3年計画における調査分析項目は次の3点である。 (1)キリスト教各派が既に発表した気候変動に対する宣言文などの公文書収集と分析 (2)主要な教派の気候変動理解と信仰的価値観の相関性を探るためのアンケート調査とデータ解析 (3)教会指導者たちの気候変動に対する神学的解釈を調査するための半構造化面接と逐語録分析。 初年度に(1)を完了し、その成果発表も実現したため、2年目にはアンケート調査を実施し、そのデータ解析を行なう予定である。本年度は6月と7月に国際学会での発表と、9月には国内研究会での発表を予定しており、すでに発表要旨の提出と承認を得ている。本年度も論文投稿を少なくとも1本予定している。
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Causes of Carryover |
研究のための渡航費がウクライナ危機の影響を受けて予想以上に高騰しており、科研費の予算だけでは不足が生じた。そのため、別の研究費から一部支出したことによって差額が生じた。 次年度において研究成果発表のための予算(旅費や学会参加費)に充当する予定である。
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Research Products
(3 results)