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2022 Fiscal Year Research-status Report

Did medieval glossaries and lexicons reflect contemporary discussions? Focusing on the case of grammar and logic.

Research Project

Project/Area Number 22K00105
Research InstitutionHigashi Nippon International University

Principal Investigator

関沢 和泉  東日本国際大学, 高等教育研究開発センター, 教授 (90634262)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2026-03-31
Keywords思想史 / 中世 / 論理学 / 文法学 / 自由学芸 / Papias
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、近代的(批判的)校訂版が存在しないか遅れてきたゆえに、あるいはそれらは単なる古代の書物の切り貼りだと考えられたゆえに、正面から扱われることの少なかった西洋中世における辞書・事典(当時は両者に明確な区別がなかったことからこのように表記する)に見られる自由学芸・哲学の要素を分析するものである。
本年度は(1)西洋中世においてどのような辞書・事典が存在し、これまでの研究によりどのような系譜関係が描かれているかの文献調査を進めたうえで、(2)11世紀の成立期から初期印刷本の時代に至るまで読まれたにもかかわらず、やはり近代的校訂版が存在しない Papias の辞書・事典のいくつかの項目について、実際に当時の写本を調査しつつ(オンラインで読む研究会も実施しつつ)、それらの項目が先行する辞書・事典のどのような要素を、どのように編集して成立したのかを追った。
(1)の成果として、HuguccioやOsbernusのものに加え、2016年の国際研究プロジェクトの成果としてオンラインのデータベースとして公開された Liber Glossarumだけでなく、近年小さな辞書・事典類の校訂が急速に進んでいることが確認できた。またLiber Glossarumプロジェクトを核とし周辺の研究も進められつつあることが分かった。
(2)の成果は、一般にイシドルス『語源』の引き写しと考えられてきた Liber Glossarum が『語源』を独自編集(あるいは『語源』と類似の原資料を異なる編集)している部分が後代に利用されていることが少なくないこと、またPapiasはそれ以外にも古代から中世最初期の著作から、単に抜き出すだけでなく、かなり複雑な切り貼りをして各項目を作っていること、13世紀のカトリコンへのトマス・アクィナスの影響の大枠を示すことができた。
これらの成果については『中世哲学会』で共有した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

辞書・事典の概要について、フランスを中心としたヨーロッパのLiber Glossarum研究グループが成果を公開データベースのかたちで公開してくれていることもあり、それを活用することで古代末期から中世初期の状況について、当初の想定以上のペースで研究を進めることができた。
また11世紀の重要な辞書・事典 Papias については、研究協力者の岩熊幸男氏とともにオンラインで他にも多数の参加者を得ながら研究会を行いながら読み進められたこともあり、現時点ではすべての写本について検討できたわけではないが、一部の項目については、ある程度信頼のおけるテキストを得ることができている。
加えて、古代からの伝統を引き継ぐイシドルス『語源』とLiber Glossarumの伝統がPapiasにおいてひとたび整理されたのち、語の形態等への関心が強い Huguccio で確立された伝統と融合し、Catholicon へと流れ込んでいく大まかな絵が見えてきたことから、当初の計画以上に進展しているともいえるが、海外との連携が本年度は大きくは進展できなかった点が残ることから、全体としてはおおむね順調に進展しているとした。

Strategy for Future Research Activity

一方でここまで進めてきた各辞書の項目群の校訂を進めることに加え、それ以外の項目についても重要なものがないか調査を進める。
さらに、本年度は学会での発表等を通じて、中世の辞書・事典に見られる自由学芸・哲学の要素が、単なる切り貼りというよりは、何らかの意図、少なくとも時代的な関心を映し出したものであるということは共通見解とすることができたが、こうした辞書・事典が実のところどのような読者に対して、どのような意図で作成されたかについては、辞書・事典の序文が語っている場合もあるにせよ、残念ながら必ずしも明確にはできなかった。そのため、存在するものについては序文等、辞書・事典作成者が自身の辞書・事典を位置づけるテキストを分析すること、また写本の分布と収蔵の状況を精査すること、両者のアプローチを組み合わせることで、この点をもう少し明らかにしたい。
また、本年度の調査により、これまでの中世の辞書・事典の系譜研究において位置づけられてこなかった小さな辞書・事典群の校訂が進んでいることが分かったことから、これらの小さな辞書・事典群が、中世を超えて大きな影響を与えたことが分かっている一連の辞書・事典群とどのような関係にあったのかを調査することによっても、すでに名の知られた辞書・事典群がどう読まれたかに加え、そうした辞書・事典群を準備した時代的な背景について、明確にしたい。

Causes of Carryover

おおむね計画通りに計画が推移し、本年度必要な資料等の入手ができたため、わずかではあるが残額が生じた。この分については翌年度資料費として使用の予定である。

  • Research Products

    (1 results)

All 2022

All Presentation (1 results)

  • [Presentation] 中世哲学研究に対し当時の辞書・事典はどのような寄与をするか2022

    • Author(s)
      関沢和泉
    • Organizer
      中世哲学会(第71回研究大会)

URL: 

Published: 2023-12-25  

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