2022 Fiscal Year Research-status Report
ルソー政治思想に関する生成的手稿研究:『社会契約論』と『道徳書簡』を中心に
Project/Area Number |
22K00106
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Research Institution | Josai University |
Principal Investigator |
淵田 仁 城西大学, 現代政策学部, 助教 (00770554)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 賢穂 慶應義塾大学, 商学部(日吉), 研究員 (90806663)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 啓蒙思想 / デジタルヒューマニティーズ / 草稿研究 / ジャン=ジャック・ルソー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、ジャン=ジャック・ルソーの手稿の執筆過程を再現した電子学術校訂版を作成し、テクストの生成的観点からルソー政治思想の再解釈を目指すことにある。2022年度は、校訂版作成のための下準備を行い、同時に手稿のデータ化を進めた。 具体的には2023年2月にスイス・ジュネーヴに行き、ルソーの直筆原稿である通称「ジュネーヴ手稿」(『社会契約論』の草稿として使われた手稿、ジュネーヴ大学図書館資料番号Ms.fr.225)および『道徳書簡』(『エミール』の一部として援用された手稿、資料番号Ms.fr.228(ジュネーヴ大学図書館所蔵)、資料番号Ms.R.92(ヌーシャテル大学図書館所蔵))を直接閲覧し、写真等のデータを取得した。 写真データのみでは、紙の透かしや綴込み部分の読解が困難であったが、直接現物を確認した結果、手稿用紙の組み合わせ方や判読不能文字の解析を理解することができた。 また、手稿の文字列や書き直し、抹消線等のデータをXML形式で作成することも2022年度に開始した。研究対象の手稿全ての情報をXML形式へデータ化することは完了しておらず、この作業は2023年度末に完了を目指している。XML形式へのデータ化にあたっては、Text Encoding Initiative(人文学資料のデジタル規格を策定する国際プロジェクト)と呼ばれるマークアップ言語を使った手稿の記述方法を採用し、公共的に開かれた形でのデータ化を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
コロナ禍により海外渡航がやや遅れたが、現地調査を実施できたため順調に進んでいると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、2022年度に取得できたデータのXML化をまずは目指したい。同時に、XMLデータを可視化するためのサイト構築に関する技術の習得や他の研究者との協力関係を早急に構築することが今後の推進方策となる。
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Causes of Carryover |
コロナ禍等の社会的情勢のため国外調査が短縮されたため。また旅費の高騰により図書資料購入等を控えたため次年度使用額が発生した。
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