2022 Fiscal Year Research-status Report
河合栄治郎関係文書の分析による「大正デモクラット」の実像解明
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22K00107
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Research Institution | Atomi University |
Principal Investigator |
松井 慎一郎 跡見学園女子大学, 文学部, 教授 (50795101)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
清滝 仁志 駒澤大学, 法学部, 教授 (70294866)
杉淵 洋一 聖学院大学, 人文学部, 准教授 (00758138)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 筧克彦「法理学」の影響力 / 大正デモクラットの植民地認識 / 『人間の運命」のヒロイン |
Outline of Annual Research Achievements |
河合栄治郎関係文書のうち未公開部分で重要と思われるもの、具体的には、日記、大学時代の受講ノート、書簡の一部分をスキャンして画像データ化し、解読にあたった。その解読を通じて、河合栄治郎を取り巻く人間関係および彼の植民地認識や人格主義等について新たなことが判明した。 大学時代(1911-1915)に筧克彦の「法理学」や上杉慎吉の「憲法学」を熱心に受講した様子がわかり、特に筧の講義から仏教の法理に強い関心を持ったらしく、そこで説かれた仏身論が後年の人格主義に多少の影響を与えた可能性を発見できた。 農商務省官僚時代のアメリカ出張(1918-1919)では、T・B・ヴェブレン、片山潜、永井柳太郎らと交流を持っていたことが判明し、先行研究で示されてきた人間関係や思想的影響がもっと幅の広いものであったことが証明された。 未公開部分の日記の解読を通じて、イギリス留学時代(1923-1925)の交流関係が明確になった。芹沢光治良『人間の運命』のヒロイン高場加寿子のモデルとされる安生鞠子は、河合の東京女子大学での教え子であるが、当時、ベルリン大学に留学しており、河合がベルリンに滞在した際頻繁に会っている様子がわかった。『人間の運命』や江上照彦『河合栄治郎伝』で劇的に誇張して描かれた両者間の関係について真実の姿を明らかにする手がかりを掴めた。かつて学生時代に第一高等学校の後輩として交流のあった市河彦太郎とロンドンで再会し交流を深め、外交官の市河を通じて、来英中の要人(井上準之助や山本玄峰ら)と交流を持ったこと等が判明し、先行研究では指摘されなかったイギリス留学時代の多彩な生活が明らかになった。 河合の植民地認識は、これまで、石橋湛山や吉野作造らとの比較の上で限界点が指摘されてきたが、朝鮮人留学生と交流を持ち、日本の帝国主義に対する一定の疑念を持っていたことが日記の記述から明らかになった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナ禍の影響もあり、図書館や資料館に赴いて関係資料を十分収集する機会を持てなかったこともあり、解読が思うように進まなかった。また、研究分担者と打ち合わせする機会をほとんど持てず、情報共有することがあまりできなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
オンライン会議等を通じて、研究分担者との間で検討会を開き、研究をすすめていく。
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Causes of Carryover |
コロナ禍により計画していた資料調査旅行に赴くことができず、旅費をほとんど使用しなかったため。コロナが収束しつつある現状に鑑みて、次年度は今年度行けなかった分も含めて、積極的に調査旅行に赴く予定である。
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Research Products
(13 results)