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2023 Fiscal Year Research-status Report

Incidental Music and Ballet Music of Ludwig van Beethoven

Research Project

Project/Area Number 22K00120
Research InstitutionTokyo National University of Fine Arts and Music

Principal Investigator

沼口 隆  東京藝術大学, 音楽学部, 准教授 (70453529)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywordsベートーヴェン / ゲーテ / エグモント / 劇付随音楽 / プロメテウス / バレエ音楽 / 大衆文化 / 受容
Outline of Annual Research Achievements

当該年度においては、ゲーテの悲劇『エグモント』とベートーヴェンの《ゲーテの悲劇『エグモント』のための音楽》の各々の成立事情と、相互の関係性について整理し、論文「ゲーテの悲劇『エグモント』とベートーヴェン《ゲーテの悲劇『エグモントの』のための音楽》――両者の成立と両者間のねじれを巡る考察――」を東京藝術大学音楽学部紀要第49集に掲載した(査読あり、令和6年3月15日発刊)。ゲーテが戯曲の五カ所において明確に音楽を要求し、自身も同時代の作曲家たちと共同作業を試みたにも拘わらず、この戯曲が音楽とともに定着をすることはなかったこと、それどころか、初期の受容においては、音楽に関わる部分を本質的に削減したシラーによる改訂版の方が広く知られていたことが明らかとなった。その一方、ゲーテの戯曲を前提に作曲されたベートーヴェンの劇付随音楽は、当初から全体として上演されることが稀であり、そのために戯曲に代わる「朗読による補助」の試みも現れた。
バレエ《プロメテウスの創造物》については、東京藝術大学演奏藝術センターと相談の上、東京文化会館に企画書を送って上演への協力を打診したが、すべてが未決定の状況下で企画書自体に十分な具体性を持たせることが困難であったこともあり、現在は交渉が中断している。その一方、演奏藝術センターの方で資金繰りができる可能性が生じ、その方向で上演することを検討し始めている。
当該テーマと直接関係するものではないが、ベートーヴェン研究の一環としては、日本音楽学会第71回全国大会(2020年、主催校:武蔵野音楽大学、新型コロナウイルス感染症の蔓延のため全面オンライン開催)において当該研究者が主催したシンポジウム「100年前のベートーヴェン」を発展させ、共編著『ベートーヴェンと大衆文化』(春秋社、令和6年)として出版した。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

《プロメテウスの創造物》の上演を具体化させることを目標としたが、具体化のプロセスはほぼ中断した状態にあり、いまだ先行きを見通すことが難しい状況にある。
「エグモント」に関しては、ゲーテとベートーヴェンの作品の間の、想定した以上に複雑な関係性を整理することができ、また論文という形にできたことが、ひとつの成果と言えよう。一方で、ベートーヴェン作品に新たにテクストを付ける試みがあったことに関し、テクストの翻訳や、将来的な朗読付き公演の可能性を探ることについては、次年度の課題として持ち越された。
ベートーヴェン研究の一環として共編著『ベートーヴェンと大衆文化』を出版できたことは、その切り口の新しさから一定の注目を集めることができ、また共著者との交流もできて、実りのある成果となった。

Strategy for Future Research Activity

ベートーヴェンがゲーテの悲劇『エグモント』のために書いた音楽が、同作のシラー改訂版とともに上演されていた事実が分かったことから、シラー改訂版のテクストを入手し、それとともに音楽を演奏することの問題点を究明する。また、ベートーヴェンの音楽のために書かれたモーゼンガイル等のテクストを詳細に検討し、いずれかを訳出して、昨今では完全に忘却されている朗読と音楽による上演を目指す。
他方、ゲーテと関わりが深かったライヒャルトによる音楽については、先行研究のみからでは資料の残存状況が判然としない。時間と資金が許すようであれば、資料調査を行いたい。
バレエ《プロメテウスの創造物》の再構成・復活上演については、東京藝術大学演奏藝術センターとの関係を改めて密にし、東京藝術大学主導による上演の可能性を具体的に探る。

Causes of Carryover

舞台作品の上演の具体化を念頭に、台本の制作等に支出をする予定であったが、計画自体が中断したことにより、まったく支出がなかったことが大きい。また、前年度の海外での調査結果から論文執筆が可能であったことに鑑み、新たな調査旅行を差し控えたこと、パソコンなどの機器の状態がおおむね良好で、購入の必要が生じなかったことも影響している。
バレエ上演を具体化させることが大きな目標のひとつだが、予定よりもかなり遅れているため、3年の研究計画を1年延長し、研究費の出費を先送りにすることも視野に入れている。

  • Research Products

    (2 results)

All 2024

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] ゲーテの悲劇『エグモント』とベートーヴェンの《ゲーテの悲劇『エグモント』のための音楽》――両者の成立と両者間のねじれを巡る考察――2024

    • Author(s)
      沼口 隆
    • Journal Title

      東京藝術大学音楽学部紀要

      Volume: 49 Pages: 117-131

    • Peer Reviewed
  • [Book] ベートーヴェンと大衆文化2024

    • Author(s)
      沼口隆、安川智子、齋藤桂、白井史人編著
    • Total Pages
      328
    • Publisher
      春秋社
    • ISBN
      9784393932315

URL: 

Published: 2024-12-25  

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