2022 Fiscal Year Research-status Report
能楽・地歌・河東節を摂取した長唄の旋律形成に関する発展的研究
Project/Area Number |
22K00134
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
配川 美加 日本女子大学, 文学部, 研究員 (10787344)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高桑 いづみ 日本女子大学, 文学部, 研究員 (60249919)
坂本 清恵 日本女子大学, 文学部, 教授 (50169588)
星野 厚子 東京大学, 文書館, 学術専門職員 (90727182)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 長唄 / 能楽 / 地歌 / 河東節 / 旋律 |
Outline of Annual Research Achievements |
近世邦楽のうち、長唄は、能楽をはじめ、他の種目の影響を受けて旋律などの音楽を形成してきた。本研究では、そのうち、地歌や河東節の影響、地歌や河東節を通して能楽から受けた影響、地歌や河東節が能楽から受けた影響を調べ、詞章のアクセントや能楽の音声が長唄・地歌・河東節それぞれの旋律にどのように反映されているかについても明らかにする。 当年度は、河東節の研究に必要な資料の整備を行った。河東節の研究には正本や詞章集が不可欠となる。そこで、まず早稲田大学演劇博物館で河東節の詞章集の調査を行った。次に、河東節の古い資料を多数所蔵する奈良県の天理図書館で、河東節研究者の吉野雪子氏と共に調査を行った。その結果、薄物正本68冊、『江戸半太夫正本』2冊、『鳰鳥』『鳰鳥万葉集』『河東/後撰 夜半楽』など詞章集の写真を入手し、各資料について検討を行った。さらに、宝暦9年以降、多くの版が出版された詞章集『十寸見要集』の各版を精査し、次年度の研究の基礎となる情報をまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当年度は、本研究の代表者と分担者が日本女子大学の助成金を受けて『長唄の伝承』を檜書店から刊行することになり、その原稿作成が中心となったが、河東節の研究に必要な正本、及び詞章集について、早稲田大学演劇博物館や奈良県の天理図書館で調査を行い、次年度の研究の基礎情報をまとめた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度も引き続き河東節を中心に取り上げ、河東節が長唄に与えた影響を、正本や詞章集をもとに、詞章、文字譜や胡麻章で調べ、河東節のアクセントについても考察したい。 特に、河東節の中でも古い《小袖模様》と同様の詞章を持つ曲は、長唄にも大薩摩物《小袖模様》として伝承されている。河東節の《小袖模様》は現在伝承されていないが、明治期に採譜された5線譜が残っているので、正本の文字譜や胡麻章と5線譜を照合し、河東節《小袖模様》の復曲を試みる。さらに、長唄《小袖模様》との比較を行い、河東節が長唄に与えた影響を具体的に明らかにする。 また、長唄の旋律やアクセントの研究にとって重要な資料となる譜本、小十郎譜は大正期に成立した初版本以来、特に唄の旋律に改訂が行われてきたことが『長唄の伝承』で明らかとなった。しかし、初版本以降の各版を網羅的に取り上げて比較した研究はまだ行われていない。次年度は、その小十郎譜を初版本から調査して、改訂の過程を明らかにしたい。
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Causes of Carryover |
当年度は、本研究の代表者と分担者が日本女子大学の助成金を受けて『長唄の伝承』を檜書店から刊行することになり、その原稿作成が中心となった。そのため、本研究に必要な演奏者などからの聴取を行うことができず、次年度使用額が生じた。次年度は演奏者などの聴取を行い、早稲田大学などで所蔵する河東節の資料調査をさらに続け、資料の複写などにも使っていきたい。
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Research Products
(3 results)