2023 Fiscal Year Research-status Report
A study of the professionalization and entertainment development of local popular theater in the Showa period
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22K00135
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Research Institution | Shukutoku University |
Principal Investigator |
中野 正昭 淑徳大学, 人文学部, 教授 (40409727)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 大衆演劇・演芸 / にわか / 喜劇 / 商業演劇 / 日本近代演劇 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、前年度に充分には実施できなかったものを含め、各機関・施設の資料所蔵状況の調査を中心に行った。特に九州地方での資料調査・収集は、九州北部の主要機関で実施し、まとまった資料収集ができた。 本年度の研究成果としては、著書2(国内・共著1、国際・全集の編集1)、論文2(国内1、国際1)、翻刻1がある。 これらのうち国際シンポジウム発表をもとにした論文「興行からみた博多にわかの展開:旦那芸と商業演劇」では、先の九州北部での調査結果を踏まえ、博多にわかの独自の商業演劇への展開を検証した。また台湾で出版された編共著『林摶秋全集』全12巻(国立台湾文学館)では、戦時中に日本の軽演劇「ムーラン・ルージュ新宿座」文芸部に所属し、戦後は台湾新劇や映画を牽引した林摶秋(1920-1998)の著作集の日本語編集者をつとめた。どちらも日本語・中国語の併記で発表しており、本研究課題の目的のひとつである日本の大衆演劇に関する国際的な情報発信と東アジアの大衆演劇研究者との連携を実現する成果となった。 翻刻として、昭和の喜劇人・古川ロッパ(1903-1961)の終戦前後の日記を行った。終戦前後のロッパ日記は、長らく行方不明となっいるが、本稿ではこれと別にロッパが記した五年連用日記(早稲田大学坪内博士記念演劇博物館所蔵)を新たに発見し、翻刻した。古川ロッパの日記は昭和史の貴重な記録として様々な分野で参照されることが多いため、演劇研究に限定されない有意義な成果になったと考える。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
前年度に予定していたが実現できなかった九州北部での資料調査・収集を実施するなど、研究計画の遅れを部分的に取り戻すことができた。九州南部での資料調査など、まだ一部に研究計画の未実行はあるが、研究期間2年目であり、全体としてはおおむね順調に進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画に従い、九州地方を拠点とする商業劇団・大衆演劇団の興行の調査をつづける。具体的には、年に1~2回の地方出張によって関連資料の所蔵機関調査と資料収集、入手した資料の分析・考察、それらの論文や口頭発表による成果発表と他の研究者との情報・意見交換を重ねる。研究成果の発表は国内だけでなく、国際シンポジウム等へ参加し、海外(主に台湾、中国、韓国等の東アジア諸国)の研究者と積極的に意見交換を行い、商業演劇・大衆演劇に関する情報と研究動向の連携を図っていく。
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Causes of Carryover |
資料調査・収集のための地方研究出張の日数が充分に確保できず、次年度使用額が生じた。次年度は研究計画に従い、未使用額を適正に支出するようにする。
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