2022 Fiscal Year Research-status Report
バイオサイエンスの時代における生の哲学と芸術ー生資本と21世紀の批判のエコノミー
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22K00138
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
清水 知子 東京藝術大学, 大学院国際芸術創造研究科, 准教授 (00334847)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 生命 / 芸術 / 死 / テクノロジー / バイオアート / AI |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、生政治/死政治をめぐって生命と科学が交錯する様々な芸術作品に焦点をあてながら、以下の3点を中心に考察しするものである。第一に、新しい科学技術を使い、人間の身体能力を拡張し「サイボーグ」化を加速、強化していこうとする「トランスヒューマニズム」をめぐる議論の再考、第二に、マンモスをはじめとする絶滅危惧種の保護や再生に見る「生」と「死」をめぐる最先端の生命科学とデザイン・アートとの関係、そして第三に、生殖に関する技術操作(クローン、人工授精、代理母など)が可能になる現状において、生の生産そのものの歴史のなかに刻印されてきた科学とジェンダーの不均衡な権力関係をアートを通して批判的に再考することである。2022年度は初年度として、基本的な文献を整理するとともに、アーティスト、科学者との議論を通して知見を深め、国内外の研究会お呼び学会でその成果の一部を発表することができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究初年度は(1)先行研究、従来の芸術、生命、科学、テクノロジーをめぐる理論的文献の整理、(2)生命とその表象について、バイオアート、スペキュラティヴ・アート、AIに関する作品の調査、関連資料の収集、科学者、アーティストへのインタビュー調査、(3)研究インフラの整備を行うことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
研究2年目にあたる2023年度は、前年度の研究成果をもとに芸術と科学、生命とテクノロジーに関する具体的な作品と関連資料を整理し、アーティスト、科学者にインタビュー調査を行う予定である。また同時に、それらがどのように発信、受容されていたのか、生命をめぐる認識がいかに変容しつつあるのかを、具体的な調査をもとに考察を進め、アーティスト及びキュレーターを招聘してシンポジウムを開催する予定である。また昨年度の成果の一部は7月にインドで開催される国際学会において発表することが決定している。前年度の研究発表をさらに展開させ、積極的に国内外の学会および研究会で成果を発表し、論考としてまとめていく。
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