2022 Fiscal Year Research-status Report
初期テレビ人形劇の実験性及びそのメディア史的意義に関する研究
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22K00151
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Research Institution | Shirayuri University |
Principal Investigator |
菊地 浩平 白百合女子大学, 人間総合学部, 講師 (30580435)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | テレビ人形劇 / 江戸糸あやつり人形劇団結城座 / 竹田人形座 / 人形劇団ひとみ座 / チロリン村とくるみの木 / 空中都市008 / 宇宙船シリカ / ひょっこりひょうたん島 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は当初の計画通り、まず初期テレビ人形劇の台本や関連資料の調査を行った。対象としたのはNHK放送博物館、早稲田大学演劇博物館、国立国会図書館、町田市民文学館、江戸糸あやつり人形劇団結城座所蔵の資料である。これらは長期間保存しておくことを前提としていなかった紙資料が多く、劣化しているものもあったため、内容だけでなく資料の状態も確認しながら、慎重に作業を行った。 そうした作業を通じて、もう現存していないと思われていた初期テレビ人形劇作品の台本数十点の所在が明らかになった。数が膨大であるため、短期間でその内容の全てを詳らかにすることは難しいが、資料の存在や所蔵箇所、その状態等が明らかになったこと自体に大きな意義があり、本研究の重要な成果といえる。 また、この調査で得られた成果の一部を盛りこんで、2022年10月から12月にかけて、NHKラジオ第2放送にて講座番組『こころをよむ 人形と人間のあいだ』の講師を務めた。あわせて同番組のテキスト『人形と人間のあいだ』(NHK出版)も刊行したことで、初期テレビ人形劇の実験性や今日的意義などについて広く発信することができた。さらに、番組の反響として、初期テレビ人形劇に関する資料をお持ちだというリスナーからの申し出も複数あったことから、本研究にとって極めて有意義な機会であったと言える。 今後は収集した資料の概要をデータにまとめつつ、可能な限りその内容をデジタル化した上で、作品の分析や初期テレビ人形劇のテレビ史的位置づけの検討を行っていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
「研究実績の概要」においても記したように、本年度は国内の関連施設に出向き、資料調査、収集を行ない、その成果の一部をNHKラジオ第2放送と書籍の形で発信することが出来た。こうしたことから、本研究はおおむね順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究課題の今後の推進方策として、来年度も引き続き資料調査・収集を行ない、成果を上げることを目指す。 また2023年は、テレビ人形劇にも大きな影響を与えた「現代人形劇」が始まってから100年という節目であり、関連するシンポジウムや学会が予定されているため、そうした場を活用して積極的な成果発表を行っていきたい。
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