2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K00152
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Research Institution | Japan Women's University |
Principal Investigator |
高桑 いづみ 日本女子大学, 文学部, 研究員 (60249919)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
配川 美加 日本女子大学, 文学部, 研究員 (10787344)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 近世邦楽 / 長唄 / 一節切 / 能楽 |
Outline of Annual Research Achievements |
文化文政期に再流行をみせた小型の尺八一節切は、普及のために江戸後期に流行した三味線音楽との合奏を試み、その譜本を作成している。それらの譜本研究を通して、近世後期の長唄や能の実態の一端を明らかにした。 まず、譜本について諸本の調査をおこない、調査結果は「『糸竹古今集』『糸竹五色貝』とその所収曲」と題して『長唄の伝承 旋律形成に関する学際的研究』(2023年3月 檜書店発行)に掲載した。 三味線音楽と合奏を試みた曲のうち、数曲について五線譜化を行って現行の三味線楽譜との比較をおこない、現行譜とほぼ変わりがないことを確認した。比較譜については同じく『長唄の伝承』に掲載している。 合奏を試みた三味線音楽の中には能楽の囃子事、クルイを摂取した「相生獅子」もある。一節切譜に反映されたクルイの譜を通して、長唄のクルイが現行の能楽藤田流の譜と一致することも確認した。調査結果は「長唄『クルイ』合方考」と題して同じく『長唄の伝承』に掲載した。その他、能楽の大ノリ謡を摂取した「相生獅子」「傾城道成寺」についても一節切譜を解読し、能楽の大ノリ謡との異同について研究を行った。結果は「長唄が摂取した謡の近古式地拍子」と題して、同じく『長唄の伝承』に掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査を予定していた無窮会が現在閲覧を停止しているため、新規の調査が執行できなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、引き続き一節切譜の調査とその五線譜化をおこない、近世後期の三味線音楽の実態の把握に努める。
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Causes of Carryover |
一節切中興の祖である神谷潤亭とその伯父簗正記が関わりを持っていた中津藩(現在大分県中津市)に調査に行く予定であったが、報告書の原稿作成に勢力をそそいだ結果、昨年度は調査に行くことができなかった。よって本年度分の調査地として関西方面のほかに中津を加え、調査を行いたい。
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