2022 Fiscal Year Research-status Report
日本に現存する古琴(七絃琴)資料の調査・研究と解題目録・蔵書印データベースの作成
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22K00155
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
山寺 美紀子 関西大学, 東西学術研究所, 非常勤研究員 (90601097)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 古琴 / 七絃琴(七弦琴) / 琴譜 / 内藤湖南 / 徳川吉宗 / 書誌 |
Outline of Annual Research Achievements |
中国の伝統楽器である古琴(七絃琴)は、古来、儒者を初めとする知識人の修養として愛好されてきたものであり、思想・学問と密接に関連しながら今日まで演奏伝承が続いている。古琴は、かつて中国から日本にも伝わり受容されてきたが、昭和期に日本における演奏伝承は断絶した。日本には今も古琴の資料が残存するが、多くは死蔵されている。研究代表者は、これまで日本各地に散在する古琴の一次資料を調査してきたが、本研究では、それを基にして更なる調査・研究を行い、日本に現存する古琴資料の解題目録・蔵書印データベースを作成する。対象とする資料は、古琴の楽譜・奏法書・理論書等と古琴を扱った研究書・礼楽書等の古文献(写本・刊本を含む明治中期・中華民国初期頃までの和書・漢籍)である。本年度は以下の①~④を行った。 ①すでに実見・調査した資料(弘前市立図書館/東北大学狩野文庫/宮城県図書館伊達文庫/筑波大学/山県大弐神社/無窮会/国会図書館/静嘉堂文庫/早稲田大学服部文庫/宮内庁書陵部/東京国立博物館/国文学研究資料館田安徳川家資料/内閣文庫/東京都立中央図書館/上野学園大学/神宮文庫/住吉大社御文庫/四天王寺大学恩頼堂文庫/京都大学/陽明文庫/彦根城博物館/九州大学等の計320点ほど)の書誌事項を再検討し、解題目録の作成に着手した。 ②関西大学図書館所蔵古琴資料の悉皆調査を完了させ、「関西大学図書館所蔵の稀覯琴書と内藤湖南旧蔵琴書について」と題する発表を行った。 ③故林謙三氏旧蔵の古琴に関する資料の悉皆調査を行った。 ④江戸期に将軍徳川吉宗の主導で行われた琴楽再興に関する資料(彦根城博物館所蔵『減字譜法』、伊達文庫所蔵『雅琴譜』、田安徳川家資料『雅琴譜』『楽曲琴譜』等)の来歴の検討、現代語訳・五線譜訳を行った上で、共著論文「享保年間における徳川吉宗の琴楽再興-思想と実践の結節点-」を執筆した(2023年6月刊行予定)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
コロナの影響と研究代表者自身の諸事情により、予定していた所蔵機関への実地調査に行くことができなかったため。また、解題目録の作成に関しては、目録に含める資料の選定基準、及び各資料の書名の決定や蔵書印の判読、来歴の検討に時間がかかり、計画どおりには進まなかった。
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Strategy for Future Research Activity |
①すでに実見・調査した資料に対する解題目録の作成を進める。別々の所蔵先に散在する同一の蔵書印・旧蔵者のリストも並行して作成する。 ②幾つか予定している所蔵機関への実地調査に行く。 ③貴重な古琴資料や蔵書群については、資料紹介や論考、翻刻と現代語訳あるいは訳譜などを適宜執筆して公刊したい。
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Causes of Carryover |
理由:予定していた実地調査出張ができなかったため。 使用計画:2022年度にできなかった調査を2023年度に行い、その旅費に使用する。
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Research Products
(3 results)