2023 Fiscal Year Research-status Report
Representation of fascia in art works and its anatomical structure
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22K00166
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
阿久津 裕彦 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (70785807)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 公太 順天堂大学, 医学部, 非常勤助教 (80734615)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 解剖学 / 美術解剖学 / 筋膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
フランスの医師ポール・リシェが記述した大腿筋膜の弓状支帯について初年度に採取した標本のクリーニングを行なった。標本は大腿前面の大腿筋膜を剥離したものを10側、大腿部に温存したままのものを10側採取し、それぞれで結合組織の除去を行なった。この際、周囲の筋膜構造である腸脛靱帯と膝蓋支帯の走行と範囲もある程度分類することができた。大腿筋膜の弓状支帯の線維は大腿筋膜および大腿四頭筋の表在筋膜に属し、周辺の腸脛靱帯と膝蓋支帯の線維走行とは癒着しているものの、ほぼ交流が見られない。したがって、大腿筋膜の最下端に位置する線維であると考えられる。解剖体によっては大腿筋膜の弓状支帯による圧痕が、内側広筋の筋腹の上に見られることがあり、弛緩して柔らかい筋よりは硬い線維であるが、筋が凝った様な状態で張力が元々高い人では筋の方が繊維より硬くなって、体表から観察できないことが推測される。生体での観察を行う場合、トレーニングによって筋が発達した人や体が硬い人ではなく、中肉中背の人で調査を行うと良いと考えられる。 他に、殿部では坐部端綱の観察も1例行った。坐部端綱は後面では大殿筋の表面を覆っていたが、坐骨肛門窩の領域に入ると、比較的硬さのある殿部脂肪体の中に放散する様に分布していることがわかった。この脂肪体は線維様の結合組織が充満しており、骨への付着部を辿ることが困難であった。代わりに、殿部脂肪体全体を一括で単離できることがわかったため、取り外した後にクリーニングを行うことでより詳細な線維の分析が可能になると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
非常に薄い筋膜のクリーニング作業と重なり合う線維の解析に思いの外時間がかかることがわかった。現在は指導している学生らに手伝いを依頼し、遅れを取り戻すことを行なっている。膝以外の部位について、解剖実習の進行状況との兼ね合いが難しく例数が少ない。これに関しては、研究用標本などを用いて初見を増やしていこうと考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き標本のクリーニングと、論文用の作図作業を進める。大腿筋膜の弓状支帯に関する歴史的な文献は、調査が概ね完了しており、今回の調査で観察できた解剖初見をまとめてテキストに書き起こす作業を行う。 大殿筋の筋膜に関しては解剖初見を増やしていく。必要に応じて作業人数を適宜増やし、研究が遅れない様にする。
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Causes of Carryover |
主に実習体を利用した研究のため、作業費用が発生していない。今後、作画作業のための人件費や学会旅費などによる費用が発生すると考えられるため、次年度使用額とした。
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