2022 Fiscal Year Research-status Report
アニメーション表現におけるピンスクリーンの今日的意義を巡る実践的研究
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22K00201
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Research Institution | Tokyo National University of Fine Arts and Music |
Principal Investigator |
山村 浩二 東京藝術大学, 大学院映像研究科, 教授 (30516828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
布山 毅 東京藝術大学, 大学院映像研究科, 教授 (10336654)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | アニメーション / ピンスクリーン / アレクサンドル・アレクセイエフ / 映画史 / 装置論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度、ランスより、2代目のピンスクリーンを導入。 アレクサンドル・アレクセイエフとクレア・パーカーによって確立されたピンスクリーン技法の複雑性とその変遷、技法継承者の研究。数少ないオリジナルのピンスクリーンは、幾人かの後継者が利用しており、ジャンアルベルト・ベンダッツィによれば後継者達は「アレクセイエフが発明した道具を使いながらも、まったく自律的で個人的なインスピレーションとスタイルを持つ」と評している。ピンスクリーンを扱う数少ない作家の1人であるミシェル・レミューは、ピンスクリーンについて、「私たちの潜在意識や夢のイメージへのアクセスを容易にし、既成概念の罠から離れた非常に直接的な方法で自分自身を表現することを可能にし、偶然や事故に私たちをさらし、それらがもたらす発見の収穫を私たちに与える。」と述べる。このように他者が発明した道具やテクノロジーの上に、作家各人はどのように自律性、個人的な発想力や様式を確保できるだろうか?これを明らかにするため、先行研究や作家らの先行事例を研究する。 そして実際にピンスクリーンを操作して得られた知見を記録し蓄積中、現代アニメーションにおけるピクセルというメディウムの価値付けについて考察する。具体的な実践としては、フランスからの新造ピンスクリーンの導入による映像制作、次世代機ピンスクリーンの日仏共同開発を開始した。具体的には、購入したピンスクリーンの構造を研究し、広島県産の直径0.4mm未満の針を用いて、オリジナルのピンスクリーンを超える高精細な次世代ピンスクリーンの新造に取り組む。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
テスト的な映像制作も進み、新たな課題としてピンスクリーンの装置の可能性の研究、および次世代のピンスクリーンの開発まで進んだ。またピンスクリーンの歴史的研究も順調に進んでいる。ただし、ワークショップに関しては、研究者の実際にピンスクリーンを操作して得られた知見を記録し蓄積中であり、もう少し制作を進めないと、ワークショップまで行うことは難しい。
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Strategy for Future Research Activity |
ピンスクリーンの歴史的研究の執筆、ピンスクリーンを使った次の段階のアニメーション制作と、ワークショップの実践を今後行い、ピンスクリーンの現代における実践の可能性を探る。
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Causes of Carryover |
ピンスクリーンによるアニメーション制作は時間がかかる上に、その知見を得てからのワークショップの実践のためには、1台のピンスクリーンだけでは間に合わず、2台目を前倒しで導入することが必要だったため。
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