2023 Fiscal Year Research-status Report
「伝説・神話・昔話」から地域深層造形を読みとる その方法と実践
Project/Area Number |
22K00206
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
長岡 大樹 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 助教 (20456403)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 地域深層造形 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本各地の地域住民が、先祖代々、無意識のうちに継承してきた造形感覚や形態イメージのことを、本研究では「地域深層造形」と呼んでいる。「地域深層造形」という新しい概念は、要するに、美術造形における「方言」のようなものである。多くの芸術的創作行為や芸術作品は、この地域深層造形を基盤として成立しているものと考えられる。 研究1年目は、増田友也氏(1914ー81)と渡辺豊和氏(1938 - )という二人の建築家の建築思想と設計作法について「地域深層造形」という観点から考察した。両氏とも、地域や国家を構成する人々が、無意識のうちに抱えている潜在的造形感覚を読み取り、それを踏まえて設計活動をおこなっていた。 当該年度にあたる研究2年目は、渡辺氏が確立した「伝説・神話・昔話から地域深層造形を読み取る設計作法」にもとづき、筆者の研究機関のある富山県の地域深層造形を読みとることを試みた。まず富山県の郷土文献や伝説集成等から、地域深層造形を文学的に抽出することを試みた。そしてその地域深層造形と県内の古代造形(縄文土器はじめ土器・土偶類、装身具、古墳壁画あるいは銅鏡模様、住居・祭祀場の空間構成、古墳形状)とを比較・分類・類型化し、地域深層造形の造形イメージを抽出した。あわせて「伝説・神話・昔話」の舞台と考えられる県内の地形や風景と、地域深層造形を照合した。その結果、各種の地域造形物のなかでも、縄文時代の遺物である縄文土器と土偶に着目することが、今後、研究を進めるうえで有効であることが判明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
社会情勢等の都合により、予定していた現地調査を、十分おこなうことができなかったので、進捗状況はやや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
社会情勢および先方の都合により、予定していた、現地調査が十分行えない場合は、電話取材および書面質問等で代替し、対応する。
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Causes of Carryover |
社会情勢および先方の都合により、本年度予定していた現地調査を十分実施できなかった。そのため次年度使用額が生じた(実施できなかった分の次年度使用を予定している)。
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