2023 Fiscal Year Research-status Report
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22K00210
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Research Institution | Tottori University |
Principal Investigator |
竹内 潔 鳥取大学, 地域学部, 准教授 (10805534)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 地域劇場 / 公的支援 / 自治体 / 文化政策 / 対話 |
Outline of Annual Research Achievements |
地域劇場に対する公的支援の新しいモデルを模索するため、前年度に引き続き、鳥取県及び鳥取市が支援する「鳥の劇場」(鳥取市鹿野町)の取り組みと鳥取県・鳥取市の政策について調査するとともに、県外の事例調査も積極的に進めた。具体的には、かつて本研究代表者が計画に関わり、本年度開館に至った「水戸市民会館」(茨城県水戸市)や、拙著『アートがひらく地域のこれから』で取り上げた「小美玉市四季文化館(みの~れ)」(茨城県小美玉市)、現任地の近隣で古い芝居小屋を再生させた「出石永楽館」(兵庫県豊岡市)、東日本大震災の被災地の宮城県内(仙台市及び石巻市)の劇場等を訪れた。 茨城県や宮城県の施設は、東日本大震災から12年余りの時を経て、地域の復興のシンボルとしても期待されていることが窺えた。兵庫県豊岡市の出石永楽館は、再生整備から15年が経つが、毎年の大歌舞伎公演のほかに地域住民にも積極的に利用され、親しまれる施設になっていることがわかった。一方で、いずれの地域でもこれらの施設整備に対して住民の間での意見の違い(対立)があり、そうした対立を乗り越える対話の場や機会が多様に設けられていたことも見えてきている。地域劇場に対する公的支援の持続可能性を模索する上で、このような点が重要なのではないかと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
鳥取県内を中心に、県外を含めた複数の事例の調査を進めることができ、比較の材料が得られるとともに、公的支援のモデルの再構築に向けた重要な視点を得ることができたと考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
地域劇場に対する公的支援の持続可能性を担保するうえで重要と考えられる地域住民(市民)同士の対話の場づくりについて、効果的な方策は何かを事例調査で明らかにしつつ、現在の自治体の組織制度上の特性に照らした場合の制約と今後の改善の可能性を具体的に検討していく。
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Causes of Carryover |
研究の進捗などの関係から国際学会での発表は行わず、国内での調査に注力したことや、研究補助人員の雇用などを行わずに自ら資料整理などを行ったことから、結果的に本年度の支出は少なくなった。 次年度は、国内での調査出張を数多く実施し、必要に応じて補助人員を雇用するなど、繰り越し分を含めた多額の経費の支出が見込まれる。また、調査の進捗に応じ、国際学会での発表なども検討する。
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