2022 Fiscal Year Research-status Report
Development of an instructional approach for voice and vocal based on skill/physical knowledge methodology
Project/Area Number |
22K00237
|
Research Institution | Sugiyama Jogakuen University |
Principal Investigator |
池田 京子 椙山女学園大学, 教育学部, 特命教授 (60283222)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
香山 瑞恵 信州大学, 学術研究院工学系, 教授 (70233989)
山下 泰樹 長野県工科短期大学校, 情報エレクトロニクス学科, 教授 (60777316)
永井 孝 ものつくり大学, 技能工芸学部, 准教授 (90835175)
召田 優子 長野工業高等専門学校, 電子制御工学科, 講師 (20757893)
原 道子 (山口道子) 武蔵野音楽大学, 音楽学部, 教授 (70781938)
田邊 朱実 (小畑朱実) 武蔵野音楽大学, 音楽学部, 教授 (90781948)
谷 友博 武蔵野音楽大学, 音楽学部, 准教授 (00786981)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | 音楽 / 声楽教育 / 歌唱指導 / 声の見える化 / 指導語 / 歌声の印象評価語 |
Outline of Annual Research Achievements |
通常、声楽教育における指導方法や歌唱の評価方法は、指導者によって様々である。指導者により発声法や呼吸法に対する評価・指導は、流儀や流派があるかの如く異なっている。一方で初学者もまたそれぞれ違った声・骨格を持っている。本研究はこの複雑な機能を「声楽」という水準にまで引き上げるための指導方法および指導語の認識と見解を具体化し、声楽の指導法・学習法を一般化、具体化しようとする試みであり、発声学や音楽教育、そして身体知研究や教育工学の観点からも極めて意義深いと考える。 これらのことを実現するためにはまず、歌唱時の筋電位と呼吸計測を測定し、測定結果と測定時の歌声の音響特徴量との関連を整理する必要がある。初年度に当たる2022年度は、生体センサーを用いて男声プロ歌手の歌唱時における表面筋電位(EMG)と呼吸(RESP)計測を行った。さらに、歌声および歌声の変化を定量的に示す音響特徴量を精査すると共に、歌声を特徴付けるパラメータとの対応を検証しつつ、声を出すときに無理な力が入っていないか、息を深く吸えているか、息を吐き切れているか、これらを繰り返し維持できているかなどの生体情報を収集した。 一方で、これまでに収集してきた初学者の歌声データをデータベース化するべく、当該年度ではデータベースのプロトコルを作成した。音楽大学の声楽専攻学生、および教員養成大学の音楽コース声楽専攻学生の歌声データを、入学当初から卒業まで定期的に収集してきたデータ数は1500を超える。これらを打ち込む作業は、現段階ではかなりの手間を要するため、今後は一度データを入力すれば、同一歌唱者の情報を毎回新規に入力することなく歌声データが順次更新されていく等、入力時の利便性を図っていきたいと考えている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度に予定していた通り、ウエアラブル生体センサーを用いて、男声プロ歌手の歌唱時における表面筋電位(EMG)と呼吸(RESP)計測を行った。声を出すときに無理な力が入っていないか、息を深く吸えているか、息を吐き切れているか、これらを繰り返し維持できているかなどの生体情報を収集した。また、これらのデータと歌声および歌声の変化を定量的に示す音響特徴量との関係を精査し、歌声を特徴付けるパラメータとの対応を検証した。さらに、これらの検証により得られた結果を学会で発表した。 過去に収集してきた初学者の歌声データをデータベース化するべく、当該年度ではデータベースのプロトコルを作成した。音楽大学の声楽専攻学生、および教員養成大学の音楽コース声楽専攻学生の歌声データを、入学当初から卒業まで定期的に収集してきたデータ数は1500を超えるが、当該年度からもこの先4年間の継続的な歌声の新規取得を始めた。 一方で、歌声の響きに関連する周波数特性の強度や割合の定量化を検討し、歌声評価指標の構築を試みた。これまでに心理的印象に影響を与える音響特徴量を具体化し、声楽の学習者における音響特徴量の習熟度による変化の差を検証してきたが、加えてプロ歌手・音大生それぞれの特徴を整理した。その上で、歌声評価指標の時系列変化から歌詞や習熟度との関係について考察し、学会発表を行った。 以上のことから、研究はおおむね予定通り進展させることができていると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
当該年度では、ウエアラブル生体センサーを用いて「男声プロ歌手」の歌唱時における表面筋電位(EMG)と呼吸(RESP)計測を行ったが、今後は「女声プロ歌手」の歌唱時についても、同様の計測を行う予定である。これらの情報とこれまでに開発したリアルタイムのモニタリングツールを用いて解析した結果とを関連づけることで、客観的な身体知獲得メソッドに基づいた声楽・発声指導法の具体化を目指していく。 また、歌声評価実験で収録されたままになっている膨大な歌声データのデータベース化を引き続き進めていく。歌声のデータベースを構築する際には、個々の歌声データに、歌唱者や歌唱対象曲等のメタデータを付与することとなる。メタデータを付与して歌声データを蓄積することで、特定歌唱者のデータや特定音高を含むデータを検索することができるようになる。検索された結果を用いて、学習者に歌声の変化を具体的に示すことができたり、理想とする歌手の歌声と自身の歌声を比較したりすることができ、修正すべき箇所や歌い方を維持すべき箇所が具体的にわかるようになる。 さらに、歌声を評価する「評価語」の意味・意図の精査を進め、指導法の具体化、一般化に向けて、プロの声楽指導者への歌声評価実験の実施を進めていく予定である。
|
Causes of Carryover |
当該年度に予定していた呼吸計測ソフトに関する研究打ち合わせが、先方のコロナ感染によりキャンセルされたため、その旅費については次年度に移行させた。 当該年度に発表した論文の印刷代を次年度に計上している。また、これまで研究に使用してきたノートパソコンの充電池等が破損したため、次年度には新規にノートパソコンを購入する予定である。
|
Research Products
(8 results)
-
-
[Presentation] 歌声の習熟度に関連する音響特徴量とその時系列変化に関する考察2023
Author(s)
平井 雅人, 香山 瑞恵, 池田 京子, 山下 泰樹, 谷 友博, 小畑 朱美, 山口 道子, 永井 孝, 召田 優子, 浅沼 和志, 伊東 一典
Organizer
情報処理学会研究報告
-
-
-
-
[Presentation] 長期的な専門的指導による歌声の音響特徴量の時系列変化に関する基礎的考察2022
Author(s)
平井雅人, 香山瑞恵, 池田京子, 山下泰樹, 小畑朱美, 山口道子, 谷友博, 永井孝, 召田優子, 浅沼和志, 伊東一典
Organizer
教育システム情報学会第47回全国大会講演論文集
-
-