2023 Fiscal Year Research-status Report
ポリゴンデータ解析法による初期中国金銅仏・石仏の造形と技法の比較研究
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22K00244
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Research Institution | University of Toyama |
Principal Investigator |
三宮 千佳 富山大学, 学術研究部芸術文化学系, 准教授 (10454125)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三船 温尚 富山大学, 芸術文化学部, 客員教授 (20181969)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 3Dポリゴンデータ / 金銅仏 / 鋳造技法 / 造形表現 |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度も、研究計画どおり、1件の3D撮影、分析研究、1件の学会発表、2件の論文執筆を行った。 3D撮影は、京都・泉屋博古館で、金銅如来立像 盛唐・天宝3年(744)銘(彝228)、金銅菩薩立像 盛唐 (彝220)を撮影した。 また1件の学会発表では、2022年度に3D撮影をした出光美術館所蔵金銅如来五尊像のポリゴンデータをもとに、その造形表現の特色と鋳造技法を明らかにした。また他の作例のポリゴンデータとの比較も行った。その結果を記すと、同作品のポリゴンデータによる分析から、体躯のプロポーションは、実際の人体の頭身ではなく、3等分あるいは4等分をもとに、各部のバランスをとっていること、また、各像の大きさは主尊の総高をもとに決め、配置を整えていることがわかった。また頭部の毛筋の凹凸上や体躯両側面に范線がみられないことから、ロウ型鋳造の可能性があることを述べた。特に主尊の下の四脚座は主尊と一鋳であると考えている。両脇侍菩薩と光背上段の7体の禅定坐仏は、原型が同型であることを指摘し、分割鋳造とした。本像は現状では全部で25パーツで構成しており、各パーツは鋲留めされている。このように多数のパーツを多様な技法を駆使して丁寧につくっていることは、現存する他の古式金銅仏と比べても特色ある方法であると考えられる。これらは、3Dポリゴンデータの分析を行ったからこそ判明したことである。美術作品における3Dポリゴンデータ分析研究の有用性を公表することができた。 このように当初の計画通り順調に研究を遂行している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
3D撮影、分析研究、学会での発表、論文執筆が順調に進んでいるため。研究分担者やその他の協力者とも研究協力もできているため。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度は、石仏の3D撮影を行い、いよいよ金銅仏の3Dポリゴンデータとの比較検討を行っていきたい。それにより、同時代で素材の異なる仏像における造形表現・技法面での共通点・相違点が明らかになり、当初の研究目標を達成することができる。
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Causes of Carryover |
今年度は3D撮影を2回実施したいと考えているため、前年度は1回とし、費用を抑えた。
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