2023 Fiscal Year Research-status Report
感染対策をふまえた日伊・日台国際連携による触覚美術鑑賞ツール開発・実践研究
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22K00246
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
武末 裕子 山梨大学, 大学院総合研究部, 准教授 (10636145)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古屋 祥子 山梨県立大学, 人間福祉学部, 准教授 (50557824)
平尾 百合子 山梨県立大学, 看護学部, 教授 (50300421)
大内 進 星美学園短期大学, 日伊総合研究所, 客員研究員 (40321591)
芝田 典子 山梨大学, 教育学部, 協力研究員 (30969431)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 地域連携 / 彫刻 / 触覚による美術鑑賞 / 国際共同研究 / インクルーシブ教育 / 感染症対策 / 視覚障害 / 教材開発 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は理論と実践の相互から、感染症に留意した触覚美術鑑賞法の新たな可能性を明らかにすることを目的とし、具体的には感染症に対応した国内外における触覚による美術鑑賞事例状況を調査、国内外の大学間・美術館と連携をはかりながら、触覚を頼りとした題材・教材を創造するものである。5月に感染症枠が5類に移行し、イタリアと台湾の連携も直接調査が可能となり、美術鑑賞教材開発(主に絵本と立体作品)、鑑賞取り組み提案を行った。 1. 国内外事例調査・分析 触覚による美術鑑賞ツール調査(1)イタリアの事例調査(Federazione Nazionale delle Istituzioni pro Ciechi(イタリア盲人支援施設連盟(ローマ))の触覚鑑賞絵本、情報収集、Museo Tattile ANTEROS (アンテロス触覚美術館)の触察鑑賞手法と発展的造形活動調査(2)台湾の事例調査(国立台湾芸術大学・大葉大学・中興大学・台中美術館・故宮博物院・台北市啓明学校)の調査と大学共同研究(3)日本の事例調査 群馬県立館林美術館・京都国立美術館他の国内の触覚教育に関連する調査により、参考となる資料を収集。 2.国内外事例を実践につなぐため、盲学校や国内外の彫刻家・研究者、学生の協力で、山梨県立図書館(2023年10月20日(金)-10月22日(日)の3日間、山梨県立図書館、513名来場)と台湾(11月1日(水)-23日(木)の23日間を台中光之藝廊で、11月25日(金)-27日(日)の3日間を新北市板橋435藝文特区で2会場合計760名来場、総計1273名)展覧会を開催した。 3.美術鑑賞ツール開発実践(1)美術鑑賞題材の開発について、2の実践を通して、視覚障害者団体の助言を得ながら題材考案し報告書に記した。(2)研究代表者と分担者それぞれに、触れる鑑賞法実践について論文等で研究発表を継続した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
順調に進展している理由は協力体制にある。 まず、これまで協力に入っていた地域の盲学校が発表企画の主催参加となり、イタリアと台湾の提案もあり、イタリアのFederazione Nazionale delle Istituzioni pro Ciechiイタリア盲人支援施設連盟(ローマ)と台湾4大学や公立美術館・博物館の情報収集(国立台湾芸術大学・大葉大学・中興大学・国立台北教育大学・故宮博物院・台北市啓明学校・社会福祉法人台湾非視覚美学教育協会)も可能になった。新型コロナ感染症対策を行いながら、日伊台の共同研究が順調に進み、収集した情報を参考に実践することが可能となった。発表会や講演会、ワークショップや定例会はzoomと対面の2タイプで同時開催した。 また、イタリアの触る絵本の現地調査や映像資料を元にその内容や活用法について考えを深めた。そして、台湾で鑑賞法の検討、視覚障害者福祉施設の協力体制により、助言協力を得ながら発表を進めることができた。 次に、研究発表を元に国際共著論文を執筆、題材発表として国際協力による展覧会開催を行なった。 また、日伊で進めてきた調査研究に台湾の専門家が協力者として加わり、ヨーロッパ圏・アジア圏の触察による美術鑑賞の取り組み状況と活用状況調査が進められた。 これらの調査は日本での新型コロナ感染症5類移行のため、現地協力が促進し、充実した調査・研究内容となった。 また、教材進捗を紹介する展覧会等では、感染看護学専門の研究者が分担者として継続してその時期に流行している感染症に応じた消毒方法や換気の基準を十分に協議した後に、開催することができた。台湾の調査・企画を担当する分担者自身も現地での研究者協力を得て、視覚障害者団体と協働で日本の素材を用いてワークショップや開催した。現在も様々な感染症の流行は継続しているため、今後も協議を重ねながら研究を深めていく事とする。
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Strategy for Future Research Activity |
令和5年度は当初からイタリア・台湾での調査と実践を予定していた。現地協力者の尽力と新型コロナ感染症の流行の落ち着きにより、順調な研究状況で事例調査・分析、実践の反映が可能となった。 3年目の令和6年度前半には、感染症によりタブー視された触わる鑑賞法が逆にリアリティのある体験に体験に基づく鑑賞法として世界中で加速していることから、現地調査を継続し、反映させていきたい。これまでは調査と題材を中心に展開してきたこれまでよりも、盲学校や視覚障害者団体との交流や助言のフィードバックも活発になり、題材展開の他に教材考案が3年目にはより具体的に進められることが期待される。 その中でも先に述べたように、専門家の助言を仰ぎながら、世界的な対策方法を調査し準備を進める必要がある。令和6年度後半は感染状況を鑑みながらの実際に公共施設内での研究公開と研修会開催、報告書の作成により普及に努める。並行して、日伊台の美術館調査、実見・実態調査は継続していく。分担者それぞれが考案した調査案・教材案を検証・活用・実行に移し、教育現場・美術館調査を中心に継続予定である。 また代表者はイタリアと台湾での調査をオンラインと対面で継続する。 具体的には6月にイタリアのFederazione Nazionale delle Istituzioni pro Ciechiイタリア盲人支援施設連盟(ローマ)の協力を得るワークショップを、9月に台湾彰化県立美術館で台湾4大学・現地視覚特別支援学校(国立台湾芸術大学・大葉大学・中興大学・国立台北教育大学・台北市啓明学校)の協力を得て発表予定、10月に山梨開催予定。 協力関係にある教育現場、福祉機関での鑑賞実践活用を目指し、鑑賞対応の人材育成と並行して進め、進捗は相互に毎月の定例会等で確認し合い、科研終了後の教材活用普及に向け進め、報告普及を図っていく予定である。
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Causes of Carryover |
台湾・イタリアでの調査研究及び、教材作成の研究が予想より順調に進んでいるため、より発展的な展開が期待され、最終年度の発展を考えて計画的に次年度へ使用額を送ることとした。 感染症が5類に移行されたことで、当初見積もっていた消毒費等の消耗品費を、最終年度の教材作成に充てたい。 また、当初依頼予定だった年度ごとの報告書等のデザイン構成に関わる仕事や比較的短文の翻訳(人件費予定)を代表者と分担者が自身で行なったため、人件費と通訳費を抑え、その分、円安で高騰している海外の調査費等に次年度計画的に充てたい。
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Remarks |
備考にはHPと国際ニュースを記載
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Research Products
(18 results)