2022 Fiscal Year Research-status Report
公共ホールの財務マネジメント研究:舞台芸術の「場」の持続的発展と戦略的経営
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22K00252
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Research Institution | Hiroshima City University |
Principal Investigator |
城多 努 広島市立大学, 国際学部, 准教授 (30423966)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
石田 麻子 昭和音楽大学, オペラ研究所, 教授 (50367398)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アートマネジメント / 公共経営 / 会計学 / 公共施設マネジメント / 公会計 / 芸術実践 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は,我が国の芸術文化活動,特に舞台芸術において,公共ホールは表現「場」であり,活動に欠かせないインフラである。現在その多くが建て替えや大規模修繕など更新投資が必要な時期にさしかかっている。この背景から,本研究では公共ホールが抱える課題の解決と将来像を描くことが,芸術文化活動の持続と発展を可能にするという問題意識から,公共ホールにおける財務・会計マネジメントの実態を明らかにし,会計情報の活用方法を探るものである。 本年度は公共ホールにおける財務マネジメントについて,会計情報がどのようにマネジメントに活用されているのか,活用することでマネジメントをどのよう改善することができるのかという視点から,公共施設に関する会計情報を活用したマネジメントに関する先行研究を検討した。 また公共ホールへの外部からの評価における会計情報の役割についても明らかにすることを目的として,芸術文化活動の評価に関する内外の先行研究の検討も併せて行った。 本研究では公共ホールのハコモノとしての側面にも着目し,研究を進める観点から,公共ホールの施設マネジメントについても,財務・会計の観点から分析を行う。そのために公共施設マネジメントに関する先行研究について,主として「公共施設等管理総合計画」における自治体の資産マネジメント方針をレビューするほか,内外の文献の検討も行った。 また今後の公共ホールへのアクセスや,公共ホールに関するデータや情報入手に必要なネットワーク構築のため,(公社)公共文化施設協会に本研究への協力を要請し,必要なデータ等の提供を受けることで合意した。 また本研究にとって重要な概念である「劇場圏」について,日本音楽芸術マネジメント学会などでの研究報告を行い,今後の研究に役立つフィードバックを得ることが出来た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
2022年度は,新型コロナウィルス感染症流行が終息していなかったことから,全国の公共ホールに対する現地調査を十分に行うことが出来なかった。公共施設であるという特性に鑑み当方としても相手方のリスクを可能な限り軽減するという観点から,訪問調査については2023年度以降終息が見えてから活発化させることとした。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の研究計画は以下のとおりである。 ①公共ホール運営における財務・会計マネジメントの役割とあり方の解明:今年度は昨年度と同様に,引き続き公共施設に関する会計情報を活用したマネジメントに関する先行研究やその他のデータを検討してゆくほか,公共施設に対する訪問調査を行い,施設の担当者に対するインタビュー調査を行うことで,当該課題へのアプローチを多面化し,解明を目指す。 ②公共ホール評価における会計情報の役割:今年度も昨年度と同様に,芸術文化活動の評価に関する内外の先行研究や事例の検討を行うほか,SIBやSROIといった評価手法に関する検討を進め,当該課題に対する理解をより深めることにより,その解明を目指す。 ③公共ホールの施設マネジメントにおける会計情報の役割:今年度も昨年度と同様,公共ホールのハコモノとしての側面にも着目し,研究を進める観点から,公共ホールの施設マネジメントについても,財務・会計の観点から分析を行う。そのために公共施設マネジメントに関する先行研究や「公共施設等総合管理計画」および各地方公共団体で作成が進められている「個別施設計画」を検討するほか,早稲田大学パブリックサービス研究所にける「資産マネジメント研究会」への参加を通じて,最新情報の入手とさらなるネットワークの構築につとめる。 現在までの進捗状況で示した通り,これまで現地調査を十分に行うことが出来なかったことを踏まえ,今年度は可能な限りその機会を探り,積極的に現地調査・インタビュー調査を行ってゆくこととしたい。
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Causes of Carryover |
新型コロナウィルス感染症の影響により,本来予定していた現地調査を中心とした研究計画に遅延が生じたことから,当該計画に充当する予定の予算に一時的余剰が生じている。本年度は現地調査を昨年度より積極的に行うことにより,研究の遅延を挽回することを予定してていることから,昨年度の予算として計上していたこれら現地調査の経費を,今年度において使用する計画としている。
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