2022 Fiscal Year Research-status Report
近現代科学の展開における図像の製作と伝達に関する歴史研究
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22K00272
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
田中 祐理子 神戸大学, 国際文化学研究科, 准教授 (30346051)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
河野 俊哉 東京大学, 大学院教育学研究科(教育学部), 学術研究員 (40600060)
吉本 秀之 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 教授 (90202407)
橋本 毅彦 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (90237941)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 図像科学史 / 天文図 / 植物図 / 人体図 / 博物学 / 翻訳 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の初年度である今年度は、研究計画に基づき、様々な地域における科学・技術の発展と図像製作の技法・装置の発展の相互影響関係についての新たな事例研究を進めることを目指とともに、これまで明らかになっている事例の整理と分析を深めるべく努めた。まず主要な研究活動としては、本研究計画のメンバーによる研究会を4回開催した。各研究会の内容は以下の通りである:第1回(2022年5月21日・東京大学・駒場キャンパスにて対面形式)=過去の研究に基づく事例の整理・時代と主題の区分に関わる検討と今後の事例研究の担当確認、第2回(同8月26日・オンライン)=「覗き筒」について(田中)・印葉図について(河野)・甘草画像の系譜について(吉本)・星図と天体‐人体の表象について(橋本)の事例研究、第3回(同12月28日・オンライン)=解剖図に見る地域間交流と技術的変遷について・および書籍の構成について計画検討(全員)、第4回(23年3月20日・オンライン)=今年度の研究総括・書籍刊行準備のための打合せ・および次年度に向けた計画検討(全員)。さらにこれらの各研究会の間には、メールおよびオンラインストレージを通じて、事例研究の原稿化・相互原稿検討、新資料の追加・整理の活動を行なった。 また上記に加えて、2022年6月18日には京都大学人文科学研究所共同研究班「科学的知識の共同性を支えるメディア実践に関する学際的研究」(班長・河村賢)主催による「リサ・カートライト『X線と映画』邦訳刊行記念書評会」に研究代表者田中が評者として招聘され、研究分担者である橋本・吉本も同書評会にオンライン参加し、19世紀西欧における映像技術の変化と人体の運動および神経に関わる知覚と知識の変化について、本研究からのこれまでの成果に基づき、非常に有益な意見交換と情報収集の機会を持つことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上の「研究実績の概要」にも記した通り、今年度は本研究の計画初年度として、科学・技術と図像製作の歴史的展開について、これまで明らかにされている研究成果の整理をするとともに、新たな研究を進めるべき領域に関して、研究基盤を築くための準備的活動にも力を注ぐことができたと考えている。特に地域間、異文化を横断する形で発展した知識や技法、それらの伝播の痕跡を伝えると考えられる画像、およびその裏付けとなりうる文字資料の探索に努め、今後さらに取り組むべき事例研究の方向性について研究代表者・分担者の間の議論を深めるように心がけてきた。その成果の一端を他の研究グループと共有し、より多角的な視点から再検討する機会も得られたことは、今後の活動に向けて極めて有意義であったと評価できる。 ただし、2022年度はいまだ新型コロナ・パンデミックの影響が強く残っていたため、当初予定していた、大阪・杏雨書屋を中心とした関西地域の史料による翻訳書における図像の活用と変化に関わる研究活動と、それに基づく事例研究の再検討のために対面での研究会を開催することは困難となってしまった。そのため、資料の実物を確認する調査活動は研究代表者・分担者各自が個別に可能な形で進めることとし、それらの研究成果の相互検討については、オンライン研究会やメール・オンラインストレージでの共有によって補うことにせざるを得なかった。次年度はより多くの対面による調査・議論の場を共有し、本研究全体の進展を期したい。
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Strategy for Future Research Activity |
上の「研究実績の概要」にも記した通り、今年度は本研究の計画初年度として、科学・技術と図像製作の歴史的展開について、これまで明らかにされている研究成果の整理をするとともに、新たな研究を進めるべき領域に関して、研究基盤を築くための準備的活動にも力を注ぐことができたと考えている。特に地域間、異文化を横断する形で発展した知識や技法、それらの伝播の痕跡を伝えると考えられる画像、およびその裏付けとなりうる文字資料の探索に努め、今後さらに取り組むべき事例研究の方向性について研究代表者・分担者の間の議論を深めるように心がけてきた。その成果の一端を他の研究グループと共有し、より多角的な視点から再検討する機会も得られたことは、今後の活動に向けて極めて有意義であったと評価できる。 ただし、2022年度はいまだ新型コロナ・パンデミックの影響が強く残っていたため、当初予定していた、大阪・杏雨書屋を中心とした関西地域の史料による翻訳書における図像の活用と変化に関わる研究活動と、それに基づく事例研究の再検討のために対面での研究会を開催することは困難となってしまった。そのため、資料の実物を確認する調査活動は研究代表者・分担者各自が個別に可能な形で進めることとし、それらの研究成果の相互検討については、オンライン研究会やメール・オンラインストレージでの共有によって補うことにせざるを得なかった。次年度はより多くの対面による調査・議論の場を共有し、本研究全体の進展を期したい。
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Causes of Carryover |
計画では8月に神戸での対面による研究会および大阪・杏雨書屋を主とする資料調査を実施する予定だったが、同時期に特に関西地域での新型コロナ肺炎の感染者数が増加したことに対応し、オンライン形式での研究会開催に切り替えたため、関連の経費が執行されなかった。次年度使用分として請求した助成金は、主として燃料費の高騰により想定より高額になっている国外出張経費の補填に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)
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[Book] 啓蒙思想の百科事典2023
Author(s)
日本18世紀学会『啓蒙思想の事典』編集委員会
Total Pages
714
Publisher
丸善出版
ISBN
978-4-621-30785-4