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2023 Fiscal Year Research-status Report

Reproductive sphere in the Leftist Cultural Movement around 1930

Research Project

Project/Area Number 22K00292
Research InstitutionNagoya University

Principal Investigator

飯田 祐子  名古屋大学, 人文学研究科, 教授 (80278803)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2026-03-31
Keywords社会的再生産 / ケアの倫理 / ケア・フェミニズム / 1930年代
Outline of Annual Research Achievements

2023年度は、社会的再生産にかかわる現在の文学状況を把握する調査および分析を行った。具体的には、ケアの危機に関わる小説群として、ヤングケアラーを主題とした小説が登場していることを指摘し、考察を行った。成果発表として「ヤングケアラー小説の登場」(奈良女子大学アジア・ジェンダー文化学研究センター・国際シンポジウム「若い世代のケアを考えるーヤングケアラーをめぐる現状とこれからー」、オンライン、2023.12.23)の報告を行い、論文「ヤングケアラー小説の登場:複数的な語りによる〈回復〉のナラティブ」(『アジア・ジェンダー文化学研究』8、pp3-12、2024.3)を発表した。また2022年度に行った報告を論文化し、「関係の〈余白〉を広げる:単数的な語りによるヤングケアラーの可視化」(『JunCture』15、pp.56-72、2024.3)を発表した。両論文によって、現在のヤングケアラーに関わる小説群を二つの系統(単数的な語りと複数的な語り)に分類し、ケアの可視化と価値化というケアの倫理における二つの問題系に、それぞれが応答しているものとして評価した。現在のケア・社会的再生産についての考察は、1930年代の社会的再生産について考察する際の指針となるものである。社会的再生産を家領域に封じ込める家族主義はケアの危機に直結するものであり、1930年代の状況を可視化する表象や、また解決のための価値の生成がいかになされていたのかを、今後考察していく予定である。さらに、ヤングケアラー小説群に加えて、生殖に関わる小説群について考察し、日本における文学とケア・フェミニズムの関係性について論じた招待講演「再生産領域の再構成と再配置 フェミニズムと文学から考える」(韓国日本学会第107回国際学術大会、於慶熙大学、2024.2.16)を行った。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

2023年度は、昨年度より進めてきた社会的再生産にかかわる現在の文学状況について考察を進めた。とくに注目したのは、近年「ヤングケアラー」という用語の普及にともなって、新たに現れた小説群である。ヤングケアラーとは、本来ケアを担うべきではない若者がケアを担当している実態を指しており、ケアの危機の一つの事象としてとらえられる。また生殖に関わる小説群も、「少子化」というケアの危機に応答するものである。現代小説におけるこれらの試みに目をむけるなかで、分析の枠組を構成しつつある。これらの考察は、研究対象の年代が本研究の中心からは離れているものの、理論的な枠組や、焦点化すべき問題群を明確化することに直結しており、1930年代の社会的再生産について考察する際の指針を形成するものとなる。1930年代にけるケア、およびケアの危機について考察する際に、社会的再生産を家族領域に封じ込める家族主義の有り様を確認することが必要である。

Strategy for Future Research Activity

2024年度は、1930年代の諸説群のうち、生殖の問題とヤングケアラー問題を中心に分析を進めていく予定である。生殖については、とくに避妊や産児調節の議論の再整理と、その表象について、左翼文化を中心に検討する。一方のヤングケアラーについては、本用語自体が近年構成されたものであり、これを1930年代に適用した先行研究はほとんどないが、実態としては、かつてから発生していたものと考えられる。1930年代に、これらの実態がどのように受け止められていたかについて検討する。その際、共同保育の議論が、ヤングケアラーへの問題意識に重なる部分がないかについて検討したい。

Causes of Carryover

本年度は、国際学会に参加したが招待だったため旅費等を使用しなかった。次年度は、国際学会への参加や、東京へ出張して調査の旅費として用いる予定である。

  • Research Products

    (3 results)

All 2024

All Journal Article (2 results) (of which Peer Reviewed: 2 results,  Open Access: 1 results) Presentation (1 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results,  Invited: 1 results)

  • [Journal Article] 関係の〈余白〉を広げる : 単数的な語りによるヤングケアラーの可視化2024

    • Author(s)
      飯田 祐子
    • Journal Title

      JunCture : 超域的日本文化研究

      Volume: 15 Pages: 56~72

    • DOI

      10.18999/juncture.15.56

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Journal Article] ヤングケアラー小説の登場:複数的な語りによる〈回復〉のナラティブ2024

    • Author(s)
      飯田祐子
    • Journal Title

      アジア・ジェンダー文化学研究

      Volume: 8 Pages: 3-12

    • Peer Reviewed
  • [Presentation] 再生産領域の再構成と再配置 フェミニズムと文学から考える2024

    • Author(s)
      飯田祐子
    • Organizer
      韓国日本学会第107回国際学術大会
    • Int'l Joint Research / Invited

URL: 

Published: 2024-12-25  

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