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2022 Fiscal Year Research-status Report

尾張藩の芸能保護・統制の実態と東海地域の芸能に与えた影響についての基礎的研究

Research Project

Project/Area Number 22K00304
Research InstitutionSugiyama Jogakuen University

Principal Investigator

飯塚 恵理人  椙山女学園大学, 文化情報学部, 教授 (00232132)

Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) 三木 邦弘  椙山女学園大学, 現代マネジメント学部, 准教授 (80174001)
Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywords能 / 伊勢 / 狂言 / 大蔵流 / 和泉流 / 愛知県
Outline of Annual Research Achievements

尾張藩の芸能保護・統制の実態と東海地域の芸能に与えた影響について検討した。伊勢神宮の神領であった伊勢市通町の栄通神社の奉納で三百年近く狂言奉仕をされている大蔵流狂言方森家の森浩一師の所蔵資料の中で、昭和期に先代大蔵流宗家大蔵彌右衛門師より伝えられた間狂言台本50曲ほどを拝借して、現在整理している。森浩一師の祖父は和泉流狂言方の岩本家からの養子であり、岩本家宛の免状や書簡も残されているとのことなので、間狂言台本の整理を終え次第、森師所蔵の岩本家関連書簡も整理させていただきたいと考えている。
和泉流では名古屋市在住の狂言方佐藤友彦師所蔵の山脇得平本間狂言本を撮影し、《頼政》について他の間狂言本との差異を検討、論文執筆中である。また佐藤師より狂言《鈍根草》の六義(台本)を提供していただき、現代語訳と英訳を作成、愛知県伝承の台本に基づいた英語圏留学生向けの狂言普及教材を作成した。(「留学生向けの狂言英語教材の制作―《鈍根草(どんごんそう)》を素材として―」名古屋芸能文化会「名古屋芸能文化」第32号,P.95-110、令和5年2月)
間狂言諸本の比較としては、世阿弥の自筆能本が現存している能《江口》についても検討した。《江口》は室町時代の自筆能本のシャベリアイの間狂言から江戸時代初めの古本能狂言の居語りの形になって性空上人が江口の長を普賢菩薩と観たこと、西行と江口の長が和歌問答をしたことが語られることが定型となったことを述べた。しかし江戸時代が進むにつれ、おそらく舞台進行に応じて間狂言の長さを変化させる必要があったため、西行の和歌問答を省略する間狂言の本が現れた。こうして間狂言の内容が時とともに変遷していく一つの例を見出すことができた。(「《江口》の間狂言-江口の長について-」紫明の会「紫明」52号,P60-65,令和5年3月)

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

伊勢市勝田流保存会の狂言方森浩一師御所蔵の間狂言本や免状の調査が、ほぼ予定通りに進捗している。
また明治維新期の名古屋能楽界と尾張徳川家の関係について徳川林政史研究所の「御次御能装束冥加金帳」など尾張徳川家の資料を閲覧・調査することが出来、明治4~10年前後に、寺田左門治や大野藤五郎などの旧尾張藩御役者が能楽の催しを行う際に、尾張徳川家はその所蔵の装束を貸し出すという形で援助していたことなどを明らかにすることができた。
また岐阜羽島の尺八演奏家不破洋師が提供してくださった写真やSPレコード、カセットテープ等の音源から、戦前から昭和40年代までの岐阜県の尺八・筝曲の実演家の芸系やその演奏の特色などを明らかにしつつある。さらに尾張藩領だった岐阜市内芥見村で、浜松の虚無僧寺の普大寺と旦那場を争って抗争事件を起こした山梨県の虚無僧寺の明暗寺の活動実態について、江戸後期の留場証文などの活動資料を閲覧・撮影することができた。これを基にして明暗寺だけでなく江戸後期の三重県白子の普済寺などの、尾張藩領内にはないが尾張藩領を旦那場とした虚無僧の活動実態や吹奏した曲の特徴などについて検討し、明治の愛知における尺八ブームの基盤について考察する。

Strategy for Future Research Activity

伊勢市の森浩一師が所蔵する、和泉流岩本家から大蔵流森家に養子に入られた浩一師の御祖父伝来の、岩本家に対する和泉流家元の山脇和泉家の免状等に関する書類を、調査の際一部確認した。これについて御許可を頂いた上で撮影し、伊勢の狂言において和泉流と大蔵流がそれぞれどのような六義(台本)を使用していたかや、異流共演や曲の演出や詞章を教えあうなどの芸事上の交流が見られるかなどを調査・検討したい。
また和泉流佐藤友彦師が御指導されている新城狂言同好会の酒井家の六義について閲覧の許可を頂いている。佐藤師からは「太平洋戦争後、高校生に狂言を教えるため、六義の詞章を一部改めた」と伺っているので、六義のどの部分がどのように改められたのか、その理由についても検討したいと考えている。

Causes of Carryover

東海地域能楽番組入力に使用する予定だったがアルバイト要員を期間内に確保できなかった。今年度8-9月の夏休み期間にアルバイト要員を確保して入力する予定である

  • Research Products

    (5 results)

All 2023 2022

All Journal Article (5 results)

  • [Journal Article] 《江口》の間狂言―江口の長について―2023

    • Author(s)
      飯塚恵理人
    • Journal Title

      紫明の会 「紫明」 第52号

      Volume: 52 Pages: P.60-65

  • [Journal Article] 徳川慶勝写「宝生流能造物図絵」の紹介と翻刻(一)2023

    • Author(s)
      飯塚恵理人
    • Journal Title

      椙山女学園大学「椙山女学園大学研究論集」

      Volume: 54 Pages: -

  • [Journal Article] .碧南市所蔵「旧棚尾 村普大寺関係文書」について2022

    • Author(s)
      飯塚恵理人
    • Journal Title

      名古屋郷土文化会「郷土文化」第77巻第1号 P.31-35

      Volume: 77-1 Pages: p31-35

  • [Journal Article] 《呉服》の間狂言の差異―織姫と治まる御代―2022

    • Author(s)
      飯塚恵理人
    • Journal Title

      紫明の会 「紫明」 第51号 P.62-67

      Volume: 51 Pages: p62-67

  • [Journal Article] 留学生向けの狂言英語教材の制作―《鈍根草(どんごんそう)》を素材として2022

    • Author(s)
      飯塚恵理人
    • Journal Title

      名古屋芸能文化会「名古屋芸能文化」第32号

      Volume: 32 Pages: P.95-110

URL: 

Published: 2023-12-25  

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