2023 Fiscal Year Research-status Report
第二次世界大戦後の日本国内外における日本古典の社会的位置付けに関する研究
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22K00326
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Research Institution | Meiji University |
Principal Investigator |
内藤 まりこ 明治大学, 情報コミュニケーション学部, 専任講師 (50554432)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | ロバート・ファン・ヒューリク / ヨーロッパの日本研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、オランダでの資料調査と2022年度から23年度にかけて収集した資料の分析を中心に研究活動を行なった。 まず、オランダでの資料調査に関しては、ファン・ヒューリク関連の主要な書物が所蔵されているオランダ・ライデン図書館では、2023年7月22日から9月13日の滞在期間にファン・ヒューリクが日本で収集したと考えられる資料を渉猟した。 次に、2022年度にライデン大学およびボストン大学にて行った資料調査と2023年度のライデン大学での資料調査とで収集した一次・二次資料の精査を行い、収集した資料を以下の3種類に分類した。1. 幼少時代に関する資料:ファン・ヒューリクが出生したオランダのズットフェンから父の仕事に伴って住んだオランダ領東インドのバタヴィアでの写真や本人が記した手紙等。2. 著作物に関する資料:2-1. ファン・ヒューリクが執筆した論文や研究書、書評等の研究に関わる刊行物及びその下書き、2-2. Judge Deeシリーズと呼ばれる推理小説作品の刊行物及びその下書きや、ファン・ヒューリク自らが手がけたイラストの下絵、2-3. ファン・ヒューリクが記した手紙。3. ファン・ヒューリクが収集した資料:3-1. 日本古典関係の一次・二次資料、3-2. 中国を中心とする東アジアの文学・文化に関する一次・二次資料 そして、こうした資料分類と並行して、ファン・ヒューリクに関する重要な研究書である1993年に刊行されたC.D. BarkmanによるEen man van drie levens: biografie van diplomaat/schrijver/geleerde Robert van Gulik. Amsterdam: Forum, Amsterdamの日本語翻訳を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
資料調査の結果、本研究が当初の目的として掲げていたファン・ヒューリクと日本文学研究との関わりに関係する資料はほとんど見当たらないことがわかったから。また、ファン・ヒューリクに関する研究が行われている中国、アメリカ、オランダにおいて発表された論文や学会発表の情報を収集し、その内容を把握したところ、それらは主にファン・ヒューリクの中国研究への貢献が明らかにされるものがほとんどであることがわかったから。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究が当初の目的として掲げていたファン・ヒューリクと日本文学研究との関わりを明らかにすることから方向転換をし、ファン・ヒューリクが中国や日本、オランダ領東インドを含む「東アジア」という地域概念に対していかなる認識を持っていたのかを検討することとした。
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Causes of Carryover |
円安の影響もあり、高く見込んでいた調査旅費が当初の見込みよりも少なく済んだため。次年度も引き続き円安が続くことが予想されるため、主に調査旅費に充填したいと考えている。
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