2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K00361
|
Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
高芝 麻子 横浜国立大学, 教育学部, 准教授 (80712744)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 星希 法政大学, 文学部, 准教授 (30755278)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 盛唐 / 中唐 / 安史の乱 / 文学史 / 杜甫 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本杜甫学会の年次大会(2022年9月/京都女子大学)において「シンポジウム 安史の乱は杜甫に何をもたらしたか」を主宰し、研究代表者高芝麻子、研究分担者遠藤星希氏に加え、好川聡氏(岐阜大学)をパネリストに迎え、大橋賢一氏(北海道教育大学)の司会のもと、口頭発表を行った。発表のタイトルは高芝麻子「杜甫の月が照らすもの」、遠藤星希「杜甫の詩における「山河」の在り方とその変質について――安史の乱の前後を中心に――」、好川聡「「自京赴奉先県詠懐五百字」以降の杜甫詩の展開について」であった。主に、安史の乱勃発直後から、長安脱出までの杜甫の詩歌を中心に、それぞれ杜甫の家族との関係性、自然観、記録することへの意識に立脚して分析を行い、口頭発表後には活発な議論が行われた。 このシンポジウムを踏まえ、『杜甫研究年報』第六号(2023年3月)に高芝麻子「杜甫詩の月が照らすもの」、遠藤星希「杜甫の詩における「山河」の在り方とその変質について―安史の乱の前後を中心に」、好川聡「杜甫の自注にみえる編年意識について―「自京赴奉先縣詠懷五百字」以降の展開」を投稿し、いずれの論文も査読を経て掲載された。 そのほか研究ノートとして遠藤星希・高芝麻子「中国文学史における安史の乱とその位置づけ」(『中唐文學會報』第二十九号/2022年10月)、論文として高芝麻子「 「天宝の末年」の杜甫と李徴 ―「山月記」と漢詩の学びを結ぶもの―」(査読なし/『古典教育デザイン研究』第六号/2022年8月)を公刊した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
安史の乱の文学における影響について、杜甫を中心に分析をするという一年目の目標は一定の成果を得ているものと考える。安史の乱以降における盛唐から中唐の過渡期の詩人の言説の分析は現在行っているところであり、現時点ではおおむね順調に進展しているといえる。
|
Strategy for Future Research Activity |
盛唐と中唐の過渡期に編集された詩集『中興間氣集』を中心に中唐に至る詩歌の分析を進めており、安史の乱の収束後一世紀以内の唐詩に見える乱への言及についてまとめていく。 また、本研究の昨年度の成果について、高芝麻子・遠藤星希両名に対し書籍への寄稿依頼があり、原稿を執筆しているところである(2023年度内刊行予定)。 並行して、2024年度に中心的に行う予定の、本研究が国語教育にどのように寄与しうるかについての研究も可能な範囲で展開していく予定である。
|
Causes of Carryover |
購入予定であった書籍『中華再造善本 中興間氣集』の入荷が遅れたこと、また『杜甫研究年報』への論文掲載料の請求が遅れたことから、この2件の支出が2023年度となったため。
|