2022 Fiscal Year Research-status Report
古英語作者不詳聖人伝作品群における女性像:テクストと言語の基礎的研究
Project/Area Number |
22K00386
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Research Institution | Showa Women's University |
Principal Investigator |
島崎 里子 昭和女子大学, 文学研究科, 准教授 (90276618)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 古英語 / 聖人伝 / 作者不詳 / 女性像 |
Outline of Annual Research Achievements |
初年度である令和4年度は、課題研究の基盤整備を中心に行った。 具体的には、古英語期の全作品コーパスを網羅的に調査し、これまであまり注目されてこなかった、作者不詳の聖人伝作品群に関する情報をも含めた、古英語期の女性聖人伝に特化した独自のカタログ・データベースの編集作業に着手した。 このデータベースは、従来のカタログ(Ker: 1957, Scragg: 1996, Gneuss & Lapidge: 2014等)が提供する写本毎の情報をもとにしながら、そこには含まれていない既存の刊本やラテン語原典に関する最新の情報をも新たに盛り込んだ内容となっている。 更に、ここで作成したデータベースを、女性を扱った聖人伝という新たな視点から再編成することで、古英語期の英国における女性聖人伝の系譜および受容と変容のアウトラインを明確にすることを目指している。 また、この作業と並行して、当時の作者不詳の聖人伝作品群から、特に女性を扱った作品について、既存の刊本や関連文献の網羅的な収集を進めているが、新型コロナウイルス感染拡大等の影響を受けて、海外研究機関との連絡や文献の入手が予定通りに進んでいないところがある。同様の理由により、海外図書館所蔵の原写本閲覧調査を見合わせたことによって、パラレルテキスト編纂作業についても遅れが生じている。次年度には現地調査を実現し、テキスト編纂作業の遅れを取り戻すと共に、関連文献の収集についても集中的に取り組むことを計画している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
新型コロナウイルス感染拡大等の影響を受けて、海外研究機関との連絡や文献の入手が予定通りに進んでいないところがある。また、同様の理由から、海外図書館所蔵の原写本調査を見合わせたことにより、パラレルテキスト編纂作業にも遅れが生じている。
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Strategy for Future Research Activity |
前年度に引き続き、女性を題材とする作者不詳の聖人伝作品群のコーパスを調査し、作品の分類作業を行いながら、カタログ・データベースの完成を目指す。 また、この作業と並行して、エルフリックの女性聖人伝テクストとそのラテン語原典、初期のアングロ・ラテン作家らのテクストとの比較対照研究を可能にするためのパラレルテクスト・データベースの作成にも着手する。
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Causes of Carryover |
新型コロナウイルス感染拡大の影響により、海外図書館での原写本閲覧調査を見合わせたことで、旅費の予算を繰り越すことになったため。次年度以降に現地調査を実現し、遅れていたテキスト編纂作業を進めていきたい。
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