2023 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K00397
|
Research Institution | Matsuyama University |
Principal Investigator |
細川 美苗 松山大学, 経営学部, 教授 (60389195)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
笠原 順路 明星大学, 教育学部, 教授 (00194712) [Withdrawn]
アルヴィ なほ子 (宮本なほ子) 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20313174)
岡 隼人 大阪歯科大学, 歯学部, 講師 (20803357)
木谷 厳 帝京大学, 教育学部, 教授 (30639571)
阿部 美春 立命館大学, 言語教育センター, 非常勤講師 (60449527)
鈴木 喜和 日本女子大学, 文学部, 准教授 (70350395)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | P.B.シェリーの死と物語 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年8月25日(金):帝京大学霞が関キャンパスにて日本シェリー研究センター夏季研究会を開催した。発表者である東京芸術大学博士後期課程の内藤瑠璃氏は、シェリーの詩作品における音楽性について発表した。シェリーの詩は楽曲化されているものが多く、詩に付けられた楽譜と詩の韻律の関係に関わる発表であった。発表者が所属する芸術大学において声楽専攻の友人が実際に楽曲化されたシェリーの詩を歌唱した動画による説明があり、意義深く独創的な研究発表であった。 2023年10月7日から8日:イギリス・ロマン派学会に参加した。 2023年12月2日:日本シェリー研究センター年次大会をハイフレックス形式で開催した。特別講演は「“I think you would like it”: 二人のシェリーとサフィー」というタイトルで、発表者はアルヴィ宮本なほ子(東京大学)であった。シンポージアムは、「死と語り――イギリス・ロマン派詩人の周辺」というタイトルのもと、田代尚路(大妻女子大学)が「不道徳な詩人から感覚の詩人へ――ケンブリッジ使徒会におけるシェリー評価について」、池田景子(九州国際大学)が「メアリ・シェリーの『マチルダ』再考―死を希求する主人公の語り」、細川美苗(松山大学)が「美しくも無力な天使――メアリ・シェリーが物語るP. B. シェリー」を発表した。研究発表として、内藤瑠梨(東京芸術大学)が、「ジェーン詩篇における“female voice”と音楽の調和――後世の声楽曲との比較と共に」を発表した。 イギリス・ロマン派第2世代詩人の死と神話化に関わる研究を進めることができた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
予定していた研究会および学会を開催することができたので、順調に進んでいると評価できる。 さらに、イギリス・ロマン派学会に出席し、キーツがオックスフォードでハイピリオンに関わる構想を温めたことと、当時のモードリン学寮の内部風景との関係を論じた岩本浩樹(茨城大学)の発表や、P.B.シェリーによってほぼ同時期に書かれたエッセイ“The Devil and Devils”と「ピーターベル3世」を比較して、悪と悪魔の概念に関して論じた白石治恵(阪南大学)の発表を聞き、本プロジェクトに関わる知見を得た。
|
Strategy for Future Research Activity |
2024年はジョージ・ゴードン・バイロンの没後200年にあたるため、バイロンの死と神話化に関わる学会を開催し、2021年、2022年にそれぞれ没後200年を迎えたジョン・キーツとP.B.シェリーを含んだ、ロマン派第2世代詩人の死と神話化に関わる包括的なプロジェクトの最終部分を完成させたい。 可能であれば、夏季研究会を開催し、バイロンやP.B.シェリーの死と神話化に関する議論を深め、3月に開催予定のシェリー研究センター大会に向けた関心の醸造と基礎知識の構築を図りたい。 例年12月に開催していたシェリー研究センター大会は、会場等の都合により3月第2土曜日開催へと変更された。これにより、2025年3月8日(土)に開催される予定のシェリー研究センター大会においては、バイロンの専門家である笠原順路(元明星大学)による特別講演を予定している。2023年度大会はP.B.シェリーおよびメアリ・シェリーに関わる発表が大部分を占めたため、2024年度大会においては、バイロンに関する特別講演に加え、シンポージアムでキーツに関する発表を企画したい。
|
Causes of Carryover |
特別講演の講演者としてイギリスから研究者を招聘する計画をしていたが、日本シェリー研究センターにおいて講演者を決定する時期は、実際の講演の2年前である。コロナ感染症による規制が厳しかった時期にイギリスの研究者から来日の内諾を得ることが困難であったため、2023年度大会では、国内の研究者に講演を依頼した。そのため渡航費の余剰が生じた。加えて、近年の円安や原油高の影響で、イギリスから講演者を招聘することは、当初の想定をはるかに超える金額となっているため、次年度の特別講演も国内の研究者に依頼した状態である。 このような状況から生じる次年度使用額は、最終年度に出版を計画している論集の費用に充てる。当初から最終年度に論集の作成を計画している中で、現在出版にかかる費用が高騰している。一方で、計画通りにすでに論集に掲載するための原稿の依頼をしてしまっている状態であるため、本年度の余剰金は出版費用の不足分に充てる計画である。
|