2023 Fiscal Year Research-status Report
Comprehensive Studies on the Representation of Catastrophe and Ecology in Contemporary European Literature
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22K00399
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
対馬 美千子 筑波大学, 人文社会系, 教授 (90312785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堀 真理子 青山学院大学, 経済学部, 教授 (50190228)
田尻 芳樹 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (20251746)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | サミュエル・ベケット / カタストロフィ / 現代ヨーロッパ文学 / エコロジー |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は、小説、演劇、思想のセクションごとに、現代ヨーロッパ文学におけるカタストロフィ表象とエコロジーの問題についての資料や文献の収集・整理を行い、さらにそれらの分析を行った。2024年2月にサミュエル・ベケット、モダニズム文学の専門家であるLaura Salisbury教授を招聘し、東京大学、青山学院大学で当該課題に係る研究打合せを行い、意見交換を行った。以下セクションごとに見ていく。 小説セクション(田尻):2022年に本科研メンバーで共同編集して刊行したSamuel Beckett and Catastropheに寄稿した自分の論文 ‘Catastrophe and Everyday Life in Samuel Beckett’ を日本語の著書のために練り直す作業を行なった。日常性と文学・芸術に関するその著書は2024年5月に刊行予定である。 演劇セクション(堀):ベケット晩年のカタストロフィを表象する戯曲『なに どこ』論を出版した。この作品が戯曲からテレビに変容することによって、記憶という主題がより明確になり、表現できないなにかに迫ろうとする作者の創作の苦しみが描かれることとなった点について、ベケットの初期作品『プルースト』における記憶の問題から紐解いた。 思想セクション(対馬):ベケットの長篇散文作品How It Isが提示する「泥」の世界がいかに彼の芸術創造のための「環境」として重要であったかについて、鈴木大拙の思想における「大地」の宗教的意義との関連で考察した。この研究の成果を2023年12月に開催された国際会議、第8回Samuel Beckett Society Annual Conferenceで発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初、2023年度に計画されていた(1)研究資料の収集・整理、(2)セクションごとの分析、(3)国内外での研究成果発表、(4)論文集出版準備という点において、おおむね計画通り順調に作業がすすんでいるため。(4)についてはすでに出版が完了した。
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Strategy for Future Research Activity |
2024年度は、過去2年間の研究活動を通して得られた成果を全体としてまとめあげる。前年度の成果を踏まえたうえで、本研究が現代社会に対して提示できるカタストロフィ表象とエコロジーの問題についての考察をまとめる。その延長線上で以下の作業を進める。
(1)シンポジウム形式の公開の研究会を開催し、それまでの研究成果を提示する。
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Causes of Carryover |
購入した物品が予定した金額より安価であったため、残額が生じた。 2024年度の書籍購入にあてる計画である。
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Research Products
(6 results)