2023 Fiscal Year Research-status Report
Portrayal of Mental Health in David Foster Wallace's Novels
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22K00416
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
吉田 恭子 立命館大学, 文学部, 教授 (90338244)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | アメリカ文学 / アメリカ現代小説 / 90年代大衆文化 / 新誠実 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は引き続き "Infinite Jest" 読書会をほぼ毎月のペースで継続して行い、2024年3月に研究会最終回を実施した。とりわけ90年代のポピュラーカルチャーやアメリカ文学の状況に照らし合わせながら本作を読むことで、本長編小説の幅広いテーマが浮上した。また、本作を読み解く際に主概念として頻用される「新誠実」についても、その定義や、ポストモダニズムとの継承・批判関係について他作品との関係性も含めて、考察を深めることができた。同時に、人種やジェンダーの面において今日本作家が各方面から厳しい批判を受けている点についても、その根拠がテクスト中に見出された。また、意図的なのか作品が膨大すぎて注意深い読者でさえ見過ごしてしまうのか、本作にはプロット上、表現上、言及上の謎も多く、研究者グループによる通読を目指した研究会では解明されない箇所もいまだ多くある。その内、ボストン都市圏の方言や独自表現についてはさらなる同定が必要だと感じた。中には答えは見つからずとも「謎」そのものの特定ができた箇所もあった。 読書会に参加した若手研究者は本作についての学会発表やエッセー・論文執筆の形で成果をまとめている。 International David Foster Wallace Society主催の翻訳パネルに出席し、本作の世界文学的側面や翻訳上の問題について知見を得ることができた。パネル出席をきっかけに今後の研究上の繋がりが形成できた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
2年次に研究会を終え、今後の研究者招聘や論文発表に向けて基礎的作業を終えた。
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Strategy for Future Research Activity |
読書会の成果を下敷きに、同僚研究者の要望も反映しながら、適切なウォレス研究者を招聘する。また、世界各国の "Infinite Jest" 翻訳者との連携を通じて、今年度浮上した問題点について考察を続ける。若手研究者による研究発表・論文発表につながるサポートを行う。
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