2022 Fiscal Year Research-status Report
Studies on Alliteration and Anagram of the Fin-de-siecle and Modernism Literature in English
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22K00426
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Research Institution | Aichi University of Education |
Principal Investigator |
道木 一弘 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (10197999)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桂山 康司 京都大学, 人間・環境学研究科, 教授 (10194797)
小塚 良孝 愛知教育大学, 教育学部, 教授 (40513982)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 頭韻 / アナグラム / ジェイムズ・ジョイス / オスカー・ワイルド / ジェラルド・マンリー・ホプキンズ / 言語音楽 / モダニズム |
Outline of Annual Research Achievements |
道木は、ジェイムズ・ジョイスの作品における頭韻の出現状況の調査を行った。現時点では、『ダブリン市民』15短編のうち、5つの短編について、また『ユリシーズ』については、18挿話のうち、4つの挿話について、頭韻を全て調べ、そのパターンと特徴について記述した。パターンとしては、同じ音が繰り返し3回以上出現するもの、同じ音が二回ずつ出現するもの(AA+BB型)、異なる音のペアが連続して二回出現するもの(AB+AB型)、二回目にペアの順番が入れ替わるもの(AB+BA型あるいは反転型)の4つのパターンが確認できている。 桂山は、ホプキンズが、頭韻を単に付随的使用にとどまらず、韻律上の基本原理の一端として活用した可能性について検証するために、『ドイッチュランド号の難破』を分析した。具体的には、一連各行における想定された詩行の長さの規則的変化と、各詩行の長さが sprung rhythm に基づく主観的、可変的長さであることとの矛盾から生ずる曖昧性を補う一手段として、行の長さを決定づける韻律上の原理として頭韻を活用した可能性について検討した。 小塚は、ジョイスの作品について単語の頭文字に注目した語彙の分布の分析を行った。具体的には、主に『ダブリン市民』、『ユリシーズ』、『フィネガンズ・ウェイク』の一部を取り上げて、公開されている電子テキストと早稲田大学のLaurence Anthony氏が開発したコンコーダンサーである AntConc(4.2.0)を用いてそれぞれのテキストを分析し、基礎データの収集を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
道木については、ジョイスの作品の20%程度における頭韻の調査と分析を行った。割合としてはまだ少ないが、既に5つの頭韻パターンが確認できており、調査と分析の手順についてもかなり整理できた。よって今後は研究をより効果的かつ迅速に進める目途が立った。 桂山については、ホプキンズの作品における頭韻が単に付随的(装飾的)なものではなく、詩人の韻律法にとってかなり本質的な役割を担っているらしいことが分かってきた。 小塚については、頭韻を計量的に分析する手法として、先ずはジョイスの個別の作品で使用される全ての単語の頭文字の分布状況を検出する手法を考案した。この手法で公開されている作品の電子テキストにコンコーダンサーを応用したところ、ジョイスの作品について、一定のパターンが存在するらしいことが明らかになった。 3人の分担者は主にメールで連絡を取り合っているが、お互いのコミュニケーションは順調であり、それぞれの研究の内容について適切な意見交換ができており、必要な資料や先行研究の蓄積も順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
これまでの研究成果を踏まえ、特にホプキンズとジョイスの作品における頭韻の分析とその文学的意味、また電子テキストの活用可能性について、2024年5月に開催される日本英文学会のワークショップに3人で応募することとした。ワークショップのタイトルは「頭韻をめぐる冒険―文学と語学の共同的アプローチ」である。 ワークショップの準備を通して、それぞれの研究における理論的考察と分析方法の知見がより深まっただけでなく、3人の役割分担と連携の方向性がより明確化したので、今後はメールだけでなく、7~8月をめどに対面による意見交換と議論の場を設け、研究の制度を高めることを予定している。 また、道木は、今年10月に島根大学で開催される日本英文学会中国四国支部でのシンポジウムで、本研究の成果の一部を紹介する予定である。こうした発表を通して、今後の研究の意義および問題点をより明確化し、研究の発展につなげたいと考えている。 電子テキストとコンコーダンスの活用法については、小塚が異なる作品間の比較だけでなく、一つの作品の生成過程を視野に入れた調査・分析を行う予定である。それによって、頭韻の出現と作者の意図の係わりも明らかにすることができると思われる。 アナグラムについては、これまでに収集した書籍や論文について3人で読書会を行い、内容を精査し、研究の参考とする。
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Causes of Carryover |
現在使用しているパソコンが購入から6年経過しているにもかかわらず特段の支障もなく、前年度に予定していたパソコンの購入が不要になったため。一方、燃料費等が高騰している現状を踏まえ、不使用額は次年度に予定している海外での学会発表等の旅費に充填することを考えている。
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