2023 Fiscal Year Research-status Report
イギリス文学は慈善をいかに表象してきたか――19世紀半ばから20世紀初頭を中心に
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22K00431
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Research Institution | Kyoritsu Women's University |
Principal Investigator |
浦野 郁 共立女子大学, 文芸学部, 教授 (80612746)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2027-03-31
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Keywords | 慈善 / チャリティ / フィランスロピ / E. M. フォースター / マリアン・ソーントン / 貧困 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度も文献の読解を中心に行った。特にPhilanthropy in British and American Fiction: Dickens, Hawthorne, Eliot and Howells(2007)のような、2000年代以降に出版された文献を読み、申請者が元々専門とする20世紀以前の英文学作品における慈善の描かれ方を把握することに注力した。
研究代表者が主宰する勉強会においては、2023年よりE. M. Forster, Marianne Thornton(1956)を継続して読んでいる。Forsterの小説作品においては慈善活動に対し批判的な姿勢がうかがえるが、大叔母の伝記である本作においては肯定的な姿勢も見られる。執筆年代や作品ジャンルの違いによってこのような差異が見られることが分かり、この点は引き続き掘り下げて考えたい。Forsterに関しては、20世紀初頭のイギリスにおける慈善や貧困についての考察を含むHowards End(1910)の訳出も続けており2024年夏~秋に出版予定。
また、研究開始当初はイギリス文学が慈善に対し批判的な目を向け始めるのは19世紀後半だと考えていたが、それよりも前に書かれたJane Austen, Emma(1815)等の作品を改めて精読してみると、主人公が慈善活動に取り組む様子を描く筆致にはすでに皮肉な眼差しが感じられ、研究開始時点での見解に修正を加える必要があることも分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
他の複数の出版企画に関わっており、文献読解などが予定通り進まなかったため。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続きより多くの文献に当たると共に、研究成果を形にしていく必要性を感じている。当初の計画通りに進めることが難しかったため、今後は途中で研究休止期間を設ける、研究期間を延長することなども視野に入れ、最終的には5年間の交付期間に見合った成果をまとめたい。
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Causes of Carryover |
2023年度は研究期間開始前に収集していた文献の読解を中心に行ったため、物品費があまりかからなかった。また、国内外での資料収集や発表の機会がなかったため。今年度は新たに文献を購入したり、関連学会に出席したりするために支出する予定である。
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