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2022 Fiscal Year Research-status Report

The Representations of "Nature" by 19th Century American Women Poets: Perspectives in the Age of "War

Research Project

Project/Area Number 22K00434
Research InstitutionTokyo University of Science

Principal Investigator

金澤 淳子  東京理科大学, 教養教育研究院葛飾キャンパス教養部, 准教授 (50287942)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywordsアメリカ女性詩人 / 19世紀アメリカ / 戦争 / 自然 / 声
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、19世紀アメリカ南北戦争直前から戦後にかけてのアメリカ詩を対象とし、その「自然」表象の特徴について、女性詩人エミリ・ディキンスンの詩を中心に明らかにすることを目的とする。英詩の系譜において「自然」は女性代名詞が付され、女性的な要素を担わされてきた。だが、19世紀南北戦争を経たアメリカ詩において、戦争で傷ついた人々を癒す「自然」(=女性)の存在はどこまで有効といえるのか。初の近代戦争を経た動乱の時代、詩における「自然」はどのような「視座」を反映することになったのか。抒情詩および環境批評からの先行研究では、戦争と「自然」表象との関係についていまだ十分な考察はなされていない。この問題意識から、南北戦争直前から戦後のアメリカ詩の「自然」表象を、女性詩人ディキンスンの詩を中心に検証することを本研究の目的とする。
そのうえで令和4年度においては、南北戦争前から戦争初期の「自然」の言説を確認するうえで、ディキンスンの詩で鳥をモチーフとする詩群を取り上げ、マーガレット・フラーの旅行記 Summer on the Lakes, in 1843の自然観と照合させながら分析を行ない、論文「エミリ・ディキンスンの反「癒し」の鳥たち」として成果を発表した。イギリス・ロマン派男性詩人たちにおける「癒し」の自然とはまた別の自然を、女性詩人の詩において考察した意義は大きい。また時代を横断した複層的な視点を保持するため、ディキンスンの「植物」を主題とする詩群を、21世紀のアメリカ女性詩人ルイーズ・グリュックの植物を主題とする詩集と共に分析し、その成果を論文「 “Eloquent, Deliberate Silence”――植物の「視座」」として発表した。19世紀から21世紀への時代における植物の表象と「声」を結び付けた考察は意義を深めたものと考える。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

本研究における2022年度の成果として、19世紀の女性詩人エミリ・ディキンスンを中心とした「自然」の表象研究、および、19世紀の詩人ディキンスンと21世紀の詩人ルイーズ・グリュックの作品を視野にいれた分析を成果として発表することが幸い実行できたので、おおむね順調に進展していると言って差し支えない。

Strategy for Future Research Activity

今後の研究推進方策として、令和六年度は、海外出張を行い、マサチューセッツ州アマスト大学フロストライブラリー、ベネスキ博物館、ジョーンズライブラリー地方紙の記事、自然科学教育の資料収集を行うと同時に、7月第4週にアマスト大学にて開催予定のEmily Dickinson International Society Annual Meetingに出席して海外の研究者たちとの情報交換を行う。またコロナ禍の3年間閉鎖され、改装中であったDickinson Homesteadが学会参加者に公開される見学会に参加し、特に詩人と「庭」との関りを現地で確認してくる予定である。また、ニュー・イングランドの風景を題材に戦後発表されたシーリア・サクスターの詩の「自然」表象と、ディキンスンの同時期の詩と照合・分析し、同時代を生きた19世紀女性詩人の「視座」の特徴を理解するところまでを行う。また同時並行で、アメリカ女性詩人の系譜を理解するうえで複層的な視野を確保するうえで20世紀冷戦期の女性詩人エリザベス・ビショップの「自然」のモチーフを、冷戦時代を背景に分析することを併せて行いたい。

Causes of Carryover

2023年度に海外出張を実施予定であり、その際の経費および資料収集のための経費とする計画である。

  • Research Products

    (4 results)

All 2023 2022

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (2 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] "Eloquent, Deliberate Silence――グリュックとディキンスンにおける植物の「視座」2023

    • Author(s)
      金澤淳子
    • Journal Title

      The Emily Dickinson Review

      Volume: 10 Pages: 1-11

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] 「冷戦と自然――エリザベス・ビショップのA Cold Springを読む」2023

    • Author(s)
      金澤淳子
    • Organizer
      日本アメリカ文学会東京支部例会詩部門
  • [Presentation] シンポジアム「Louise Gluckを代表三詩集から眺める――The Wild Iris (1992)、Vita Nova (1999) and Averno (2006)」          "Eloquent, Deliberate Silence――グリュックとディキンスンと植物の「視座」2022

    • Author(s)
      金澤淳子 (他の登壇者:江田孝臣  梶原照子)
    • Organizer
      日本エミリィ・ディキンスン学会
  • [Book] 『自然・風土・環境の英米文学』2022

    • Author(s)
      金澤淳子(第19章分担執筆)
    • Total Pages
      464
    • Publisher
      金星堂
    • ISBN
      978-4-7647-1216-4

URL: 

Published: 2023-12-25  

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