2022 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
22K00447
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
村上 祐二 京都大学, 文学研究科, 教授 (50636511)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
|
Keywords | プルースト / ゲルマントのほう / 批評校訂版 / ドレフュス事件 / 失われた時を求めて |
Outline of Annual Research Achievements |
マルセル・プルースト『失われた時を求めて』(1913-1927年刊行)の第三篇『ゲルマントのほう』第一部および第二部(1920-1921年刊行)をその初版を基準として、作品構想最初期のメモ書きや下書きからタイプ原稿、校正刷、初版以降の主要再版、20世紀後半に刊行された諸々の批評校訂版に至るすべての版を照合しながら、新たに校訂した。この作業を通し、初版以来維持されてきた判読ミスをすべて改め、プルースト独自の句読点、改行を復元した。 またこの校訂テクストを基に主にドレフュス事件(1894-1906年)、キリスト教図像学(エミール・マール、ルナン等)およびフランス陸軍駐屯地(ドンシエール)滞在に関連する場面の調査・分析を実施した。このうちドレフュス事件に関わる成果を、2022年にプルースト没後100周年を記念してパリのユダヤ芸術歴史博物館で開催された展覧会の目録に研究論文(Proust et l’affaire Dreyfus)として発表するとともに、同博物館で同年5月11日に開催された講演会で発表した。キリスト教図像学に関連する成果は、2022年9月に同じく作家の没後100周年を記念してトゥールーズ大学で開催された国際シンポジウム「Proust (en une page)」で口頭発表した(Proust echassier)。ドンシエール滞在のエピソードに関する成果は、アメリカのフランス文学研究雑誌L’Esprit createurのプルースト特集号(Proust to Others Ends)に研究論文(Doncieres, ville du reve)として発表した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では本年度は作品前半部の校訂を完了することが目標であったのに対し、作品全体の校訂を完了し、さらに作品全体の約半分の注釈も完了することができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
2023年度以降は、作品後半部の注釈を完成させる。必要に応じてフランス国立図書館で資料調査を行う。並行して新批評校訂版巻末に付録資料として収録する未刊行草稿の転写・注釈を行うとともに序文を執筆する。成果を国内外の学会で発表し、フランス語研究論文を専門誌に発表する。
|
Research Products
(4 results)