2022 Fiscal Year Research-status Report
ディアスポラとしてのルーマニア・ドイツ語話者と文学ー世界への拡散・孤立化・連帯―
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22K00460
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
藤田 恭子 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (80241561)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
鈴木 道男 東北大学, 国際文化研究科, 教授 (20187769)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | マイノリティ / ブコヴィナ / トランシルヴァニア / ディアスポラ / ナチズム |
Outline of Annual Research Achievements |
第一次世界大戦後にルーマニア領となった旧ハプスブルク帝国領ブコヴィナやトランシルヴァニア等のユダヤ系およびドイツ系ドイツ語話者住民は、後者がナチズムに同調したことで第二次世界大戦期にホロコーストの被害者と加害者となり、戦後は拡散と孤立の歴史を辿った。ユダヤ系の多くは南北アメリカ大陸やイスラエルなどに移住した。ドイツ系の多くはルーマニアに残留したが、1989年の東欧革命を経て、多くがドイツに移住した。 本研究では、ユダヤ系ドイツ語詩人たちやドイツ系ドイツ語詩人・作家たちの活動について、文芸誌や文化誌、新聞の文芸欄ならびに遺品中の書簡等を精査し、作品創作と受容双方の視点から解明する。 本研究では、藤田(研究代表者)と鈴木(研究分担者)が従来携わってきた研究テーマとの親近性に基づき、藤田がユダヤ系、鈴木がドイツ系詩人・作家を担当するが、相互に情報交換し議論を行う。2022年度秋まで国外での調査に制限があり、年度中は延長申請していた前年度までの科研の調査があったため、刊行資料とデジタル化された資料の収集を行った。 藤田は主にアメリカで活動したアルフレート・ゴング(1920-1981)の著作の入手と整理を行い、また詩人ローゼ・アウスレンダーに関する刊行資料の整理とデジタル資料の収集を行った。 鈴木は、ルーマニアに残留したトランシルヴァニアのドイツ系住民がアイデンティティの核としているプロテスタントの信仰とドイツ人としての文化的自覚との関係を解明するべく、マルティン・ルターとドイツの古典主義の詩人フリードリヒ・シラーとの関係に関する言説を中心に分析した。この言説は、ドイツに移住したドイツ系住民を支えてきた同郷人会の活動を理解するうえで重要であり、同時に、同郷人会の言説に対する批判を理解することは、ドイツ語圏諸国におけるルーマニア・ドイツ語文学受容を理解するうえで重要な視点でもある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究にとって国外での調査は必須であるが、コロナ禍により2022年秋まで国外への渡航に制限があり、渡航が可能となった時期には、延長を申請していた2021年度までの科研費プロジェクトの調査を優先せざるをえなかった。そのため、2022年度の本プロジェクトの調査は刊行資料の入手やデジタル資料の収集を中心に進めた。
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Strategy for Future Research Activity |
国外での調査の制限がなくなったため、状況に変化がなければ、今後は計画に沿って調査を進めることができる。
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Causes of Carryover |
2022年秋まで国外への渡航に制限があり、国外での調査ができなかった。校務の合間に国外での調査が可能になった時期には、延長を申請していた2021年度終了予定の科研費プロジェクトの調査を優先させざるを得なかったため、2022年度に本プロジェクトのための調査ができなかった。国外への渡航の制限がなくなったため、この状況に変更がない場合は、2023年度に予定していた調査を行うことができる。
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