2023 Fiscal Year Research-status Report
Reconsideration of Supersessionism: A Study on the Relation between the Synagogue and the Church from the Perspective of 'Father / Mather of a Synagogue'
Project/Area Number |
22K00477
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
浅野 淳博 関西学院大学, 神学部, 教授 (20409139)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | ローマ書簡 / 使徒パウロ / カタコンベ / 墓碑銘 / 皇帝崇拝 / 皇帝神学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度の研究においては、クラウディウス帝によるユダヤ人のローマ市からの追放に関して、その背景となるローマ皇帝支配の歴史的背景について深く学んだ。これをとおして、追放令が当時のユダヤ人に対していかに現実的に普段の営みを根底から揺るがす事件であったかを確認することができた。この際に、ローマ皇帝に対する忠誠の表明の方法としての皇帝崇拝のメカニズムについても深く学んだ。これをとおして、唯一神信仰を堅持しようとするユダヤ教と初期教会とが置かれた厳しい状況を確認することができた。これは、上で述べたユダヤ人追放令が与えた初期教会へのインパクトを知る上で非常に重要となる。
今年度は、Harry Joshua Leon, The Jews of Ancient Romeを基に、墓碑銘の研究を継続し、さらにユダヤ教文献(とくにフィロンとヨセフスの著作集)から当時のユダヤ教共同体における統治構造を理解する試みを行った。
これらの研究を基にして、研究課題名に沿った論文の執筆を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
墓碑銘の調査を一通り終え、文献の精査を継続している状況である。これらを基にして論文の作成を開始しているので、その点で研究はおおむね順調に進んでいると考えられる。さらに昨年度中止した現地視察を今年度は実施することが出来た。3/19から3/28の予定でギリシャを訪問し、当該研究に関連するパウロのローマ書簡が執筆されたであろうコリントとその外港であるケンクレアの遺跡群と博物館での視察と調査を行うことが出来た。すでにこの視察・調査のジャーナルを13頁にまとめ、さらに取得したデータ(写真等)を整理している。これらの成果が今年度の論文執筆に生かされると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
現在執筆中の論文を基にした研究発表を米国学会で行うべく申請したが、これは残念ながら4月初旬の段階で不採用が確認された。今後は、この論文の執筆を継続してこれを完成し、査読付論文として刊行する機会を得る試みをする予定である。さらに刊行以前に機会があれば他の学会での発表の機会を伺おうと考えている。
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Causes of Carryover |
2023年度3月末(3/19から3/28)の予定で視察・調査を行ったが、支出が年度末のぎりぎりであったため(大学業務の関係でこの時期にしか視察・調査を行うことが出来ないため)、その支払が年度を越えてしまった。次年度に繰り越された額は、当該視察・調査のための費用に充てられる予定である。
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