• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2023 Fiscal Year Research-status Report

Representations of Waste People in the New World: American National Identity in the Age of the Nation-State and Beyond

Research Project

Project/Area Number 22K00491
Research InstitutionSenshu University

Principal Investigator

中垣 恒太郎  専修大学, 文学部, 教授 (80350396)

Project Period (FY) 2022-04-01 – 2025-03-31
Keywordsナショナル・アイデンティティ / プア・ホワイト / 放浪者 / 対抗文化 / 民衆 / 大衆文化 / 比較文化 / フーテン
Outline of Annual Research Achievements

21世紀以降、急速に研究が進展している領域の一つにホワイトネス・スタディーズ研究があり、歴史学、社会学、民俗学、文化研究を横断する学際性にその特徴がある。こうした動向を参照しながら、「アメリカ人」をめぐる概念が生成されていく中で、「新世界の無用者」として排除された層の存在がどのように描かれていたのか、たとえば、シャーウッド・アンダーソン、アースキン・コールドウェル、ジャック・ロンドンら20世紀前半のアメリカ文学を題材に検討を試みる。「新世界の無用者」(Waste people in the new world)は、『ホワイト・トラッシュ アメリカ低層白人の400年史』のある章題からの引用であるが、「たとえ不穏であれ、アメリカ全国民の説話をつなぐ核心」としてプア・ホワイト層を捉え、その表象を歴史的に展望する意義について言及がなされている。「アメリカ人」概念から長い歳月にわたって疎外されてきた層であり、人種の多様性の観点からも掬い取られにくい層であるが、この層に注目することによって、アメリカの光と影をまた別の角度から捉えることができる。「人種のるつぼ」と呼ばれる文化多元主義を表す概念の原型となった戯曲が発表されたのが1908年であり、「新移民」と呼ばれる新たな人口流入の変容期と前後して、プア・ホワイト層に焦点を当てた文学作品がこの時代に多く現われていることに注目する。21世紀現在のホワイトネス・スタディーズの研究動向、およびドナルド・トランプを大統領に押し上げたアメリカ社会の「分断」の時代を経てあらためて注目がなされている領域であり、現在の社会構造上の問題と通底していることを確認することができる。さらに、産業労働構造の変容がもたらした移動労働者(ホーボー)の現象をも参照するならば、「新世界の無用者」として排除されてきた層こそがアメリカの精神文化を下支えしてきた背景が見えてくる。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

コロナ禍を経て海外研究調査や国際学会への参加・発表は少しずつ実施できるようになってきたが、コロナ禍以前と比して以前の水準のように戻っているわけではないのが現状である。国際学会での研究発表について学会自体がキャンセルされることもあり、成果報告に関して当初の見込みよりも遅れ気味となっている。

Strategy for Future Research Activity

これまで取り組んできた「アメリカの放浪者」研究を継承・発展させながら、本研究課題を主題に据えた単著での成果刊行を目指す。「放浪者」研究においては、いわゆる「高等遊民」として放浪を選び取った者たちや、美化された物語上の表象に注目してきたが、本研究課題では、ジェイムズ・エイジーなどを含むノンフィクション文学にも注目し、疎外されてきた層を「アメリカ的」物語がどのように扱ってきたのか(「漂白」してきたのか)を探る。民主主義を標榜して成立したアメリカは、それぞれの時代で「庶民」「民衆(folks)」をどのように捉えてきたのか。文学のみならず、映画、コミックス、音楽などの大衆メディアの表象文化をも交えて概観することで、「表象される」文化のみならず、大衆娯楽の受容層の側にも目を向ける。主としてプア・ホワイト層を対象とするが、さまざまな形で疎外されている他の層がどのように重なるのか(あるいは重ならないのか)も主要な観点となる。

Causes of Carryover

本研究課題は3年間の研究過程に及ぶものであり、現在はその2年目にあたる。1年目にコロナ禍の影響により、当初予定されていた海外研究調査を行うことができなかったことがその後の研究計画にも影響を及ぼしていることによる。

  • Research Products

    (5 results)

All 2024 2023

All Journal Article (1 results) Presentation (3 results) (of which Int'l Joint Research: 1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] コミックス文化におけるポー ――大衆文化ジャンルの歴史的変遷と「二次創作的」想像力2024

    • Author(s)
      中垣 恒太郎
    • Journal Title

      ポー研究

      Volume: 16 Pages: 70-84

  • [Presentation] How Visual Narratives Depict a World without Sound: Deaf Authors' Graphic Memoirs and Enhancing Social Inclusion2023

    • Author(s)
      中垣 恒太郎
    • Organizer
      Graphic Medicine 2023
    • Int'l Joint Research
  • [Presentation] Netflixオリジナルアニメーションから探るアメリカの多様性の現在2023

    • Author(s)
      中垣 恒太郎
    • Organizer
      日本アニメーション学会秋の研究集会
  • [Presentation] コミックス文化におけるポー ――大衆文化ジャンルの歴史的変遷と「二次創作的」想像力2023

    • Author(s)
      中垣 恒太郎
    • Organizer
      日本ポー学会
  • [Book] アメリカ映画とエスニシティ2024

    • Author(s)
      君塚淳一・馬場聡・河内裕二編
    • Total Pages
      370
    • Publisher
      金星堂
    • ISBN
      9784764712317

URL: 

Published: 2024-12-25  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi