2022 Fiscal Year Research-status Report
Minimalist-Grammar-based evaluation metrics: The case of head-final clause structure acquisition
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22K00502
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Research Institution | Yokohama National University |
Principal Investigator |
藤井 友比呂 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 准教授 (40513651)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
森 辰則 横浜国立大学, 大学院環境情報研究院, 教授 (70212264)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 刺激の貧困 / 文法獲得 / 間接証拠 / 主要部後置 / ミニマリスト文法 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本語の主要部後置性と矛盾しない2種類の確率ミニマリスト文法を構築することが、最も理想的に研究が遂行された場合に達成される2022年度の目標であった。2種類の ミニマリスト文法とは、目的語とVを併合する標準的な文法(主要部補部文法)と、目的語とVを併合する前にVをCと併合するような文法(主要部主要部文法)である。残念ながらその目標の達成には至らなかった。しかし、その前段階である確率文脈自由文法の構築を行い、仮想の単純なコーパスで2種類の確率文脈自由文法の書き換え規則の適用確率を推定した。それによってそれぞれの文法のもとでのコーパスの尤度の比較を行うに至り、主要部補部文法が選ばれるという結果を得た。本研究の準備段階(Fujii and Yamashita 2020)では、書き換え規則の最尤推定を行えていなかったが、その点が克服された。なお準備段階では、非終端記号を前終端記号(preterminals)とた文法(Kornai and Pullum 1990)を想定していたが、パラメタ値の推定を行うために、そしてミニマリスト文法への拡大を見据えて非終端記号と終端記号を区別を導入している。 本研究がミニマリスト文法を検討する理由は、変形が関わる言語現象を射程においていたからに他ならないが、当初は予定されていなかった構造記述と構造変化からなる伝統的な変形規則の比較に関するトピックにおいて成果があった。英語助動詞前置規則の獲得にもとづいた刺激の貧困の議論はよく知られているが、事前確率、尤度の観点で助動詞前置変形のさまざまな仮説を比較するという計量的なアプローチを提案した。Fujii and Ninomiya 2022において単純性評価尺度を提案した。尤度の比較についても英語の対子供発話コーパスから疑問文を抽出中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
対子供発話コーパスの発話を品詞記号列に変換する必要があるが、これを現在のところ人手で行うしかないため時間がかかっている。CHILDESコーパスの場合、形態素解析(MOR)や構文解析用プログラム(GRASP)があるが、同じ人手であってもこれらによって得られた解析結果を利用する方法が作業時間の軽減につながらないか検討中である。
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Strategy for Future Research Activity |
今後、主要部後置文法の比較においては、対子供発話コーパスを品詞記号列(終端記号列)に変換し、よりリアルなコーパスを得る作業を行い、その後、上述の2種類の文法がそのコーパスを生成できるよう拡大し、再度パラメタ推定、尤度比較へと進むことになる。比較する文法のそれぞれの規模はコーパスによって決まり、コーパスが決まらなければ文法の単純性(事前確率)の計算作業も始められないので、コーパスの決定は非常に重要である。同様のことが変形規則の比較についても言える。
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Causes of Carryover |
コロナ禍で学会、研究会ともオンライン開催が多く、旅費が発生しなかったため。2023年度は対面学会が増えており、すでに参加が決定している学会もある。
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Research Products
(2 results)