2022 Fiscal Year Research-status Report
The Interface between Derivational Morphology and Construction in Japanese: A Constructional Approach to the Deverbal Noun + Suru Construction
Project/Area Number |
22K00508
|
Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
小薬 哲哉 大阪大学, 大学院人文学研究科(言語文化学専攻), 准教授 (40736493)
|
Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
|
Keywords | 日本語文法 / V方ヲスル構文 / X-ブリ/ップリ / 構文文法 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、日本語の「V方ヲスル構文」に関する研究成果を学術論文として発表することと、「X-ブリ/X-ップリ」表現に関する基礎的研究とその口頭発表を行うことを念頭に研究を目標に行ってきた。 結果、前者については、大阪大学言語文化共同研究プロジェクト「認知・機能言語学研究VII」 と日本語文法学会学会誌「日本語文法」23巻1号に論考が掲載された。後者については、日本語文法学会第23回大会(2022年12月17日-18日、オンライン開催)、およびKansai Lexicon Projectの研究会(2023年2月12日、オンライン開催)にて口頭発表を行った。前者については、その研究の過程で、派生名詞と軽動詞スルの事象継承(事象統合)という意味分析の可能性が浮かび上がり、後述する論文集の成果として新たにまとめている。後者については、当初考察を予定していた「V-ブリ/V-ップリヲスル」に関しては当初の予想よりもコーパスでの用例が少なかったため、代わりに「X-ブリ/X-ップリ」表現一般に関する記述研究と「V方」との比較を行った。これによって、「接辞の意味分析」という語彙論・形態論的研究と軽動詞構文としての構文的研究の統合という方向性がより明確になってきた。 さらに、「V方ヲスル構文」を研究を起点として、「動詞派生名詞+軽動詞スル」という構文パターン一般について、日本語軽動詞構文とその解釈という観点から研究を行った。その成果は、2023年度出版予定の論文集『構文形式と語彙情報』(開拓社)として掲載される予定であり、その校正作業を行っている段階である。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前年度から継続している「V方ヲスル」構文研究に関する複数の出版と、2022年度より開始した「V-ブリ/-ップリヲスル」構文に関する記述研究の学会発表が完遂できただけでなく、別の研究会や論文集での発表など、予定していたよりも多くの業績を上げることができた。
|
Strategy for Future Research Activity |
「V-ブリ/-ップリヲスル」という構文形式の用例数はさほど多く見られないため、それ以外の動詞連用形とともに複雑語を形成する表現(例:「V様」「V-具合」)といった表現との比較を行い、学術論文としてまとめていきたい。また、状態・属性を表す「Xヲシテイル」構文についても、「V方ヲスル」構文の研究成果から、新たな知見を提供できる見込みが出てきたので、そのための学会・研究会での発表や論文化のための準備をする予定である。さらに、当初の予定である「動詞連用形名詞+ヲスル」構文については動詞連用形名詞に関して豊富な文献があり、その渉猟が進んでいるので、先行研究の知見をまずまとめ、考察を行う予定である。
|
Causes of Carryover |
2022年度もコロナ禍により学会が軒並みオンライン開催となっため、旅費を全く使用できなかった。研究テーマが計画よりも広がりを見せたため、必要な研究資料の購入費として使用した。2023年度は対面での開催が予定されているため、旅費として使用する予定である。
|
Research Products
(4 results)