2023 Fiscal Year Research-status Report
Research on constructional meanings and functions from the perspective of frames
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22K00515
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
小原 京子 慶應義塾大学, 理工学部(日吉), 教授 (00286650)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 認知言語学 / フレーム意味論 / 構文文法 / フレーム / フレームネット / 相互フレーム / 構文ネットワーク |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、人の持つ言葉の知識の単位を、構文(形式と意味の対)と捉える。さらに、人は言語表現の意味や機能を理解する際に、様々な事象に関するフレーム(背景知識)を想起すると考える。その上で、人の持つ構文の意味と機能に関する知識を、フレームでどこまで記述可能かを解明する。「フレーム・構文分析」の手法で日英語の構文の対応づけを試み、従来未着手であった、構文の機能と、発話参与者間の関係に関して人が持つ知識である「相互フレーム」との関連を考察する。 研究局面は、1)日英語の対応する構文の抽出、2)日英語の構文の機能の分析、3)構文機能と相互フレームとの関連性の考察、4)成果発表と公開の4フェーズに分けられる。当初の予定は次の通りであった。2022年度は、主に1)を行う。その際、アノテータ・プログラマーの協力を得て、日英語パラレルコーパスの分析を行い、その結果をデータベースに入力する。2023年度は、1)を継続しつつ、2)について、Croft, Perekなど、海外研究協力者と検討を重ねる。2024年度は、1)、2)を継続しつつ、3)について、マルチリンガルフレームネット、グローバルフレームネット・プロジェクトの海外研究協力者と検討を重ねる。2025年度は、国際会議・国内会議発表、論文、著作にて主に4)を行う。 2023年度は、予定通り1)、2)を行なった。加えて、当初は2024年度に実施する予定であった、3)構文機能と相互フレームとの関連性の考察を、海外研究協力者と議論しつつ行い、成果を上げることができた。また、4)について、3件の国際会議発表、1件の国際ジャーナル論文の出版を行うことができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
上記「研究実績の概要」欄に記載した通り、予定通り1)日英語の対応する構文の抽出、2)日英語の構文の機能の分析を行うことができた。加えて、当初は2024年度に実施する予定であった3)構文機能と相互フレームとの関連性の考察も行い、成果を上げることができたからである。
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Strategy for Future Research Activity |
研究局面は、1)日英語の対応する構文の抽出、2)日英語の構文の機能の分析、3)構文機能と相互フレームとの関連性の考察、4)成果発表と公開の4フェーズに分けられる。 2024年度は、前倒しで2023年度に着手した、3)構文機能と相互フレームとの関連性の考察に関しては、実際に相互フレームの定義を進めていく。 1)、2)、3)においては、マルチリンガルフレームネット、グローバルフレームネット・プロジェクトの海外研究協力者とさらに検討を重ねる。2024年度、2025年度は、国際会議・国内会議発表、論文、著作にて主に4)を行う。 分析対象データとして、日本語と英語の対訳テキストを用いる。分析手法としては、研究代表者が提唱している「フレーム・構文分析」手法をさらに進化させ、それを用いて対訳テキストを分析し、Croft(2021)の情報構造カテゴリー一覧を手がかりに、機能が一致する日英構文のペアを探す。それらの機能が相互フレームとして定義可能かを考察する。成果物として、1)日英語の対応する構文、2)日英語の構文の機能、3)相互フレームの定義を作成し、4)日本語フレームネットプロジェクトWebサイト等で公開する。
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Causes of Carryover |
国際会議での成果発表のための旅費支出を計画していたが、第16回国際認知言語学会(ICLC16, 2023年8月)での招待講演のための旅費は全額招聘元のデュッセルドルフ大学が負担してくれたため。2024年度末に開催予定の、成果発表を兼ねた国際ワークショップのための渡航費に使用することを計画している。
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Research Products
(10 results)