2023 Fiscal Year Research-status Report
Database of longitudinal 3-24 months old child-mother utterance using day-long recording
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22K00539
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
徐 鳴鏑 慶應義塾大学, グローバルリサーチインスティテュート(三田), 特任助教 (20816798)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | daylong recording / 母子コミュニケーション / 言語獲得 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、日本人の乳幼児の母子間の日常的な発話を捉えたデータベースの構築と、母子の発話特性の分析を目的としています。また、コミュニケーション中の随伴的な反応と密接な関係をもつ母親の内受容感覚の鋭敏さと母子発話の特性との関連性も計画しています。以下に、今年度の進捗状況をまとめます。 1.データベース構築の継続: 昨年度に設定した自宅での一日の連続録音方針を微調整し、録音ノートの記入方法の改善や録音機器の調整を行いました。これにより、これまでの協力者(18名)の縦断的な録音(6~24ヶ月、月1-2回)を継続しつつ、新規の乳幼児(8名)の録音も開始しました。現在、データベースでは3名の定型発達児と3名の非定型発達児のデータ取集が終了し、9名の定型発達児と11名の非定型発達児のデータ取集が進行中です。 2.音声分析方法の検討: 昨年度から今年度の前半までに利用した録音機器Babyloggerの不具合の頻発により、特定の音声分析アルゴリズム(ALICE、フランスENS開発)の日本語への応用の検証は一旦中止になりました。新しい録音機器IzyRECで取集したデータへの適用性を検証しつつ、絵本の読み聞かせの場面と食事の場面を抽出し、AIによる書き起こしも検討し、母子の発話の種類と定量分析を行っています。 3.母親の内受容感覚の鋭敏さの評価: 協力者のうち6名の母親の内受容感覚の鋭敏さを、子どもが24ヶ月に達した時点で質問紙により主観的な評価を行いました。内受容感覚の正確性を客観的に評価できるより精度の高い心拍計測方法を検討するために、5-6ヶ月児を対象とした心拍弁別課題の予備実験を行いました。現在はデータの解析作業を進めており、確立した方法により、母親の内受容感覚の鋭敏さだけでなく、乳幼児の内受容感覚の鋭敏さの評価も検討しています。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
母子発話の特徴を調査するためのデータベースの構築については、現在までに26組(うち定型発達児12組)の乳幼児の母子の自宅環境下での終日録音を行っています。目標は40組のデータ取集を予定しており、現状は概ね順調に進行しています。 音声解析に関しては、今年度の前半までに共同研究を行っていたフランスENSが開発した録音機器と分析アルゴリズムALICEを用いて基礎的な音声分析を行っていたが、録音機器の不具合の頻発により、今年度の後半から新しい録音機器IzyRECに変更し、取集したデータへのALICEの適用性を評価しています。まず、母子のコミュニケーションが多い絵本の読み聞かせ場面と食事場面を抽出し、母子の発話の種類と量を分析する予定でしたが、録音機器の記録時刻の変則的なずれにより、母親が記入した録音ノートから直接に分析できず、現在は手動で二つの場面を抽出しています。母子の発話の量(例えば一回の発話の長さ、母子の発話/発声のターン)はALICEで自動化分析を行う予定ですが、発話内容の分析は、AIによる書き起こしを検討しています。来年度はデータベースの拡大を行いつつ、音声解析を中心に進行する予定です。 共感性と密接に関係する内受容感覚の鋭敏さと母子コミュニケーションとの関連性を調査するため、子どもが24ヶ月に達した6名の母親の質問紙による主観的評価を行いました。内受容感覚の正確性を客観的に評価する心拍計測方法については、従来の心拍カント課題より精度の高い計測方法を検討するために、5-6ヶ月児を対象とした心拍弁別課題の予備実験を行いました。現在はデータ分析中であり、確立した方法により、母親の内受容感覚の鋭敏さを含め、乳幼児の内受容感覚の鋭敏さの調査も検討しています。
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Strategy for Future Research Activity |
1.データベース構築の継続と拡大:現在、縦断的なデータ収集が終了した6組と、現在収集中の20組の乳幼児の母子音声データを基に、より多くの母子音声データを収集する予定です。録音ノートの記入については、母親の負担を軽減するために、アプリの活用など便利な記録方法を検討する予定です。 2.音声解析技術の改善:録音ノートと録音時刻の変則的なずれにより、手動で母子のコミュニケーション場面を抽出する必要がありました。抽出手順を確立し、解析補助者による支援を行う予定です。絵本の読み聞かせ場面と食事場面の母子発話を分析対象とし、国内外の研究者との学術交流を通じて、録音機器の不具合により一度中断した音声解析アルゴリズムALICEの日本語音声解析の検証を再開します。また、機械学習などの技術を活用して、日本語の単語や文法構造などの自動解析の精度向上を目指します。 3.家庭の言語環境が乳幼児の言語表出能力に及ぼす影響の検討:音声解析に基づき、母子の発話を定量化し、自宅環境下での母子の発話特性と、子どもが24ヶ月に達した時点での言語表出能力(新版K式発達検査とマッカーサー乳幼児言語発達質問紙による評価)との関係を調査する予定です。 4.内受容感覚の鋭敏さの評価:現在、縦断的な音声データ収集中の20組の乳幼児の母親の内受容感覚を総合的に評価するため、質問紙による主観的な調査を実施し、検討中の心拍検出課題によって母親の内受容感覚の正確さを計測します。さらに、乳幼児の内受容感覚の正確さの計測も計画しており、母子両方の内受容感覚の鋭敏さと母子の発話特性との関連性を調査する予定です。
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Causes of Carryover |
今年度は予定通り、自宅での音声記録を実施しましたが、使用していた録音機器の不具合が頻発し、音声の記録時間と録音ノートの変則的な不一致が生じたため、高度な音声解析ができませんでした。その結果、学会で発表できるデータが少なく、当初予定していた学会参加のための出張経費が残りました。また、高度な音声解析のための経費も未使用となりました。 次年度は、まず、高度な音声解析を行うためにハイスペックパソコンと音声分析ソフトウェアの購入が必要です。また、音声解析を円滑に進めるために研究アシスタントを雇用します。さらに、データ解析や評価のために、国内外の研究者との学術交流を行うための経費も必要です。加えて、研究結果の論文発表に向けた費用も計画しています。最後に、母親だけでなく子どもの内受容感覚の計測も予定しているため、心拍計などの装置やソフトウェアの更新や補充を行います。 以上の計画している経費を効果的に利用し、研究の推進と目標の達成を目指します。
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