2022 Fiscal Year Research-status Report
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22K00542
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
落合 淳思 立命館大学, 文学部, 非常勤講師 (20449531)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 信弥 大阪公立大学, 大学院現代システム科学研究科, 客員研究員 (10768162)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2025-03-31
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Keywords | 漢字の字形史 / 漢字の字素 / 漢字の部首 / 族徽 / 甲骨文字 / 金文 / 篆書 / 隷書 |
Outline of Annual Research Achievements |
2022年度は、最終的な成果である字典(2024年度末に発表予定)の作成に向けて、古代漢字の字形に関する情報整理とフォントの作成をおこなった(代表者の落合が全般を担当し、分担者の佐藤が校閲した)。すでに2021年度までに分析を終えていた教育漢字(約1,000字)を除く常用漢字(約1,100字)について、その半数程度の情報整理を進めた。対象としたのは殷代後期(紀元前13~前11世紀)の甲骨文字、西周代(紀元前11~前8世紀)の金文(青銅器の銘文)、東周代(紀元前8~前3世紀)の簡牘文字(木や竹の札に書かれた文字)、秦代(紀元前3世紀)の篆書(小篆)、後漢代(西暦25~220年)の隷書などである。残りの約半数は次年度(2023年度)におこなう予定である。 また、当初の予定にはなかったが、最古の漢字資料のひとつである金文の族徽(出自を示す文字)の情報収集をおこなった(落合が担当)。この成果は2023年度中に発表する予定である。なお、この影響で字素・部首に関する分類・分析はやや遅れ、当初の2023年度中の発表から2023年度末頃の発表になる予定である。 そのほか、字源に関する先行研究を整理した(落合が担当)。字源研究は1970~80年代に盛んになり、そのころの研究が現在において一種の「古典」になっている。しかし、当時は甲骨文字や金文の情報整理が進んでいなかったため、結果として個別文字の研究には誤解が多く見られる。しかし、現在でもそうした誤解が検証されないままある種の「常識」になっており、字源研究における障害になっていることを明らかにした。この成果は2023年度または2024年度に何らかの形で発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
字典作成に向けての情報整理・フォント作成は順調に進んでいる。 字素・部首の分析については、族徽の情報整理・分析を先におこなっているため、2023年度・2024年度におこなう予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
字典の作成については、2023年度には引き続き古代漢字の字形に関する情報整理とフォントの作成をおこなう。そして、2024年度に執筆・公刊する(以上、落合が全般を担当し、佐藤が校閲する)。 族徽の情報については、2023年度中に整理して公刊する(落合が担当)。 部首・字素の分析については、先行研究の整理とあわせて、2023年度から2024年度に発表する(落合が全般を担当し、佐藤が校閲する)。
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Causes of Carryover |
2022年度は、分担者の体調不良により研究の遂行が難しかったため、物品費の一部が繰り越しになっている。快方に向かっており、残金については、未購入だった近刊書を2023年度に購入予定である。
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