2022 Fiscal Year Research-status Report
日本語音素の異音における喉頭制御と口腔内制御に関する総合的研究
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22K00544
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Research Institution | Osaka Health Science University |
Principal Investigator |
松井 理直 大阪保健医療大学, 保健医療学部, 教授 (00273714)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 日本語音声 / 有声音 / 無声音 / 時間特性 / C/D モデル / electropalatography / 発声喉頭制御 / 日本語話し言葉コーパス |
Outline of Annual Research Achievements |
まず,日本語音声の無声阻害音に関する実時間特性について,大規模コーパスを用いて,その特性を調査した.阻害音のうち,[p], [t], [k] などの子音は一般に破裂音とされている.破裂音は閉鎖区間・破裂時点・開放区感を持つ調音方法で,解放区感が緩慢な破擦,破裂時点と開放区間を持たない閉鎖という変異が起こり得る.この点について,生理学的な指標および音響的な時間特性を検討した結果,日本語の [p], [t], [k] は閉鎖と判断しうることを客観的に立証した.これらの子音が基底で破裂ではなく閉鎖の性質を持つことは,日本語の撥音や促音の生起にも一定の知見を与える.さらに,日本語の [t], k] と [d], [ɡ] における発声の対立,すなわち VOT の分布についても新しい知見を与えうる.高田 (2011) の研究でも示されているように[d], [g] の VOT 分布はしばしば双極性の分布を描く.その理由として,喉頭制御のタイミングを決める基準点が2箇所あり,各基準点に対応して分布が成立していくのか,あるいは喉頭制御を行うタイミングは限定されているが,ある時間帯について抑制因子が存在するため,結果的に双極性の分布が現れるかの,2つの仮説が考えられる.もし [d], [g] が破裂音であれば喉頭制御のタイミングが閉鎖区間と開放区間の各々に設定される可能性があるが,これらの子音が閉鎖子音であれば基準点を2箇所設定されているとは考えにくい.したがって,喉頭制御に関してある種の抑制が働いていることが予測される.この点について,日本語の各子音時間特性を藤村靖が提案している C/D モデルに当てはめ,その生成モデル過程を考察した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は予定通り進んでいる.ただ,当初の仮説と異なっている結果も得られているため,モデルの改変が必要となっている.この点も含め,2023年度の研究を進めていく.なお,研究については勤務大学の倫理委員会から承認を受けて行っている(大阪保健医療大学研究倫理委員会の承認番号:大保大研倫2104).
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Strategy for Future Research Activity |
昨年度に引き続き,日本語における各子音の時間特性および生理学的な調音動態の分析を進め,日本語音声における発声と調音の協調運動に関する研究を推し進める.また,音調の影響も条件として加えていく.さらに,病的音声に関するデータの収集を創める.
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Causes of Carryover |
昨年度は新型コロナウイルス感染症の影響で,海外から購入予定であった機器の作成が終了せず,本年度に購入する予定となっている.また,円安の影響で,当初の予定より高額での購入となる可能性がある.この点は,金利の影響も考慮しながら購入を行う予定である.
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Research Products
(5 results)