2023 Fiscal Year Research-status Report
Case alignment and focus constructions in complex sentences of Northern Ryukyuan languages
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22K00545
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Research Institution | Beppu University |
Principal Investigator |
金城 國夫 別府大学, 文学部, 准教授 (10847635)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 琉球諸語 / 記述言語学 / 理論言語学 / 統語論 / 従属節 / 疑問節 |
Outline of Annual Research Achievements |
2023年度は9月、2月、3月の三回に渡り、奄美大島瀬戸内町にて調査を行った。前年度に引き続き主に従属節に関するデータを収集し、さらに埋め込み疑問節の記述も行った。 2022年度までに実施した奄美大島瀬戸内町方言における従属節(連体節、名詞節、副詞節、引用節)に関する調査成果の一部を国内学術誌にて発表した。同方言の従属節に関するまとまった記述は管見の限り存在しない。瀬戸内町方言の関節引用節では、日本語や沖縄語と違い、述語が連体形を取るという興味深い観察が得られた。今後も更に詳細な記述と類型論的、理論的な分析を行っていきたい。 埋め込み疑問節に関する調査の成果も紀要論文として発表した。「カ節」「ガロ節」「ロ節」の三種類の疑問節についてその統語的性質について整理したもので、こちらも瀬戸内町方言に関して研究はあまりなされていない。一見日本語と同じように見える「カ節」でも、瀬戸内町方言では連体形と接続する点で、日本語や沖縄語の疑問節と異なっており興味深い。現時点では予備的な記述にとどまっているため、上述した関節引用節とあわせて今後も記述調査と理論的な分析が必要である。 また、琉球諸語の理論言語学的研究の成果および研究者同士の交流・情報交換を目的として琉球諸語理論言語学研究会(Theoretical Approaches to Ryukyuan Languages, ThARL)を立ち上げ、2024年2月に第1回研究会を琉球大学にて実施した。そこで奄美大島瀬戸内町方言の疑問節についての発表も行った。今後も年2回程度のペースで開催していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の研究計画では2022年度に従属節の記述、23年度に従属節内での格配列の記述を予定していた。後者はほとんど手をつけられていないが、代わりに、当初予定していなかった埋め込み疑問節で興味深い記述が得られたので問題は進捗状況としては問題無いと思われる。格配列については次年度の課題としたい。 また、当初は沖縄本島でも調査を行う予定であったが、ほとんどできていない。調査が長期休みの3回に限られたため、奄美大島に絞って調査を行った。無理に記述対象を広げて調査が不十分になるよりは対象を絞ったほうが良いと判断した。 以上を踏まえ、当初の研究計画から多少の変更はあるものの、研究は「おおむね順調に進展している」とした。
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Strategy for Future Research Activity |
2022年度、2023年度は従属節と埋め込み疑問節の記述に専念した。次年度以降は特に埋め込み疑問節について他言語と比較しながら類型論的、理論的分析をすすめる。その成果は学会や学術誌にて発表する予定である。また、「進捗状況」に記した従属節節内の格配列に関しても記述調査を行う。当面は奄美大島瀬戸内方言に絞って調査を行い、ある程度まとまった成果が得られた時点で沖縄本島の調査を行い、奄美大島方言と比較していく。
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Causes of Carryover |
2023年度は第一子が誕生したこともあり、現地調査の回数と日数を減らさざるを得なかったため、旅費が当初の予定よりも少なくなった。また学会での発表がほとんどできなかったことも影響している。次年度は調査の回数・日数および学会出張を増やす予定である。
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Research Products
(3 results)