2022 Fiscal Year Research-status Report
Semantic and pragmatic studies on the variety of minimizers in terms of polarity and scale
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22K00554
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
澤田 治 神戸大学, 人文学研究科, 准教授 (40598083)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | minimizer / polarity / negative polarity items / scalarity / speech act / expressives / contrastiveness / non-at-issueness |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、自然言語における様々な種類の最小化詞(minimizer)の意味・機能を統語論、意味論、語用論の観点から考察し、最小化詞の多様性の本質を理論的・実証的に明らかにすることである。具体的には、「感覚・感情と極性の関係」、「(非)字義性と極性の関係」、「排他性と低スケール性の関係」に焦点を当て、最小化詞の多様性を実証的・理論的に解明する。 1年目は、データ、理論の両面から以下の研究を行った。[1] モーラに基づく最小化詞「XY…のXの字」の非字義的用法についてコーパスデータを用いて考察し、ワークショップで発表した。[2] 否定極性項目として振舞う日本語の「かけら」の期待的・感情表出的特性について考察し、現時点で得られた研究成果をアメリカ言語学会のproceedings論文としてまとめた。またUniversity of Washington Semantics Roundtableや University of Edinburgh Meaning and Grammar Seminarで進行中の研究内容について発表した。[3] 日本語の「かすかに」や英語のfaintly等の感覚を基盤にした最小詞の意味・使用について考察し、Oxford大学で開催された言語学ワークショップで発表した。[4] 低スケール性を伴った対比の「は」の意味・機能について論文をまとめ、Empirical Issues in Syntax and Semanticsに掲載した。[5] 比較文の談話レベルの役割についての論文を執筆し、国際誌(Language and Linguistics)に掲載した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
プロジェクト全体としては、おおむね順調に進んでいると言える。これまでの研究により、最小化詞には、意味・機能に関してバリエーションがあることがわかった。たとえば、モーラに基づく最小化詞(例:「言語学のげの字も知らない」)は、知識や情報に関わる述語と共起しやすく、ターゲットにおける最初のモーラを焦点化する特性を持っている。またNPIの「かけら」は持つことが期待(想定)されている属性を全く持っていないという反期待的な意味・機能を持っている。また、「かすかに」は経験・感覚に基づく計量を行っている。今後は言語事実をさらに詳しく調査するとともに、最小化詞のバリエーションの背後にあるメカニズムについて理論的に考察したい。また研究を行う中で明らかになった新たな課題や問題点についても再考する。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は、昨年度行った研究をさらに深める。とりわけ、以下の点に焦点を当てる。 [1] 引き続き、日本語の「かすかに」、「ほのかに」および英語のfaintlyの意味・使用について考察する。とりわけ、それらの持つ感覚・体験的な意味特性について個人的嗜好述語と比較しながら検討する。[2] モーラに基づく最小化詞の意味について引き続き考察し、論文としてまとめる。[3] 否定極性項目として使われる「かけら」の意味・機能について引き続き検討・調査し、論文としてまとめる。[4] 研究協力者の澤田淳氏と共に、指示詞のスケール的・感情表出的特性について考察する。[5] 程度性と極性の関係に関して、より広い言語現象・視点から考察する。
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Causes of Carryover |
学会参加がオンラインでの参加になったため。次年度分の予算と合わせて、旅費等で有効に使用したい。
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Research Products
(12 results)