2023 Fiscal Year Research-status Report
A Descriptive and Theoretical Study of Some Aspects of Japanese and English Constructions Used to Reveal the Information and Interpretation Not Easily Accessible to the Hearer
Project/Area Number |
22K00616
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Research Institution | Niigata University |
Principal Investigator |
大竹 芳夫 新潟大学, 人文社会科学系, 教授 (60272126)
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Project Period (FY) |
2022-04-01 – 2026-03-31
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Keywords | 日英語比較研究 / 名詞節化形式 / 実情や解釈を披瀝する構文 / That's the thing構文 / Here's the thing構文 / 指示表現 / 意味論 / 語用論 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、実情や解釈を披瀝する諸構文の統語構造と意味・機能の分析を通して、形式と意味の類像性、日英語の個別性と普遍性の両面を体系的に明らかにすることを目的とする。 本年度の研究実績として、【論文】大竹芳夫(2024a)(「話題中の事柄が事の内実や背後の事情に繋がることを表現する英語構文:That's the thing構文の意味と機能」『人文科学研究』第154輯. (新潟大学人文学部) pp.1-24.)、および【論文】大竹芳夫(2024b)(「実情や内実の存在を合図する英語の構文:Here's the thing構文の意味と機能」『新潟大学言語文化研究』 第26号. pp.11-36.)を挙げることができる。 大竹芳夫(2024a)は、従来の研究では詳しく論ぜられてはこなかったThat's the thing構文の意味と機能について実証的に分析し、話題中の事柄が、事の内実や背後の事情といった、聞き手には容易には知りがたいけれども話し手の知識においてはすでに定まっている情報に繋がることを積極的に表現することを明らかにした。また、本構文が発話される談話を分析し、発話直後の言いよどみや口ごもりといった音調上の休止現象が生ずる理由、共起する談話標識の特性、さらにはさまざまな語用論的効果などの諸特性を解明した 大竹芳夫(2024b)は、“{Here is / Here's} the thing”の連鎖をもつ構文をHere's the thing構文と呼び、その意味と機能を分析した。本構文が「話し手のなわ張り内に実情や内実が存在する」こと、裏を返せば「聞き手には容易には知りがたいところ、聞き手の知識の及ばないところに、事の実情や内実が存在する」ことを合図する構文であることなどの諸特性を明らかにした。 次年度以降も研究成果を国内外に向けて積極的に発信してゆく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本年度は初年度の研究で明らかになった問題点を整理し、最近の理論的研究成果を踏まえながら、実情や解釈を披瀝する構文の主語に生ずる主語名詞句の特性、指示表現と補文の名詞節化形式の選択や出没がどのように理論的枠組みに位置づけられるかについて検討した。また、実際の談話や発話場面を分析し、実情や解釈を披瀝する際の主語名詞句や指示表現の選択と名詞節化形式の生起が語用論的要請にどのように動機付けられているのかを明らかにした。 本年度の研究実績として、【論文】大竹芳夫(2024a)(「話題中の事柄が事の内実や背後の事情に繋がることを表現する英語構文:That's the thing構文の意味と機能」『人文科学研究』第154輯. (新潟大学人文学部) pp.1-24.)、および【論文】大竹芳夫(2024b)(「実情や内実の存在を合図する英語の構文:Here's the thing構文の意味と機能」『新潟大学言語文化研究』 第26号. pp.11-36.)を挙げることができる。 本年度は当初の目標をおおむね達成することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
次年度以降は初年度と本年度の研究成果を東西諸言語の談話標識の研究に敷衍し、"The fact is"、"It's just"、「実は」といった主節要素が副詞的表現として格下げを受けて実情や解釈を披瀝する談話標識として振る舞う言語現象を究明する。あわせて、実際の文脈や発話場面を分析し、実情や解釈を披瀝する際の主語名詞句と補文の名詞節化形式の選択が語用論的要請にどのように動機付けられているのかを詳らかにする。今後も引き続き研究成果を国内外に向けて積極的に発信する予定である。
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Causes of Carryover |
(理由) 本年度は、データ保存用ハードディスクドライブ等の消耗品の単価が申請時よりも下がったために次年度への繰越研究費が生じた。 (使用計画) 次年度は、繰越研究費を活用しながら、主に次の研究経費を請求する予定である。
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Research Products
(2 results)